問い合わせデータの分析できてる?収集から分析・活用例まで解説
株式会社ラクス メールディーラー
2024.03.14
顧客からの問い合わせメールは、企業にとって貴重な情報源です。問い合わせの内容を分析することで、顧客のニーズを把握したり、業務効率化に役立てることができます。しかし、毎日たくさんの問い合わせが届く中、対応に手いっぱいで活用できていない方も多いでしょう。
本記事では、株式会社ラクスが提供するメール共有・問い合わせ管理システムの「メールディーラー」が、問い合わせデータの収集・分析・活用の方法を紹介します。
STEP1_データ収集
問い合わせデータの分析をするために、まずはそのデータを蓄積することが重要です。
データの数が多ければ分析の際にもより多くの角度から検証をすることが可能です。
しかしながら、効率的なデータ収集の方法や必要な項目など迷われる方も多いかと思いますので、まずは分析の前段階として、問い合わせデータの収集と管理に焦点をあてて解説します。
問い合わせを記録するメリット
問い合わせ内容や対応を記録することで、データ分析をはじめ多くのメリットがあります。
問い合わせ内容を分析できる
問い合わせの内容を分析することで、顧客のニーズや不満が見えてきます。
よくある問い合わせへの回答テンプレートを作れば業務時間の短縮に繋がりますし、顧客ニーズの分析は新商品や新機能開発の一助になるでしょう。
対応履歴を共有できる
問い合わせ内容と対応内容を記録しておくことで、一つひとつの対応事例をナレッジとして蓄積することができます。
ナレッジの蓄積があれば、経験の浅い新人でも高い品質で対応をすることができますし、成功事例を展開して顧客満足度の向上にも役立てられます。
また、前任担当者の退職などで引継ぎが発生した場合にも、過去のやりとりが残っていれば状況把握が容易になります。
対応漏れ・重複対応を防止できる
顧客からの問い合わせに複数人で対応している場合、他の担当者の対応状況が見えず、対応漏れや重複対応が起きてしまうことがあります。
問い合わせの内容だけでなく、対応状況や担当者を記録しておくことで、ミスを防止できます。
記録すべき項目
問い合わせを記録するにあたって、最低限必要な項目は以下の5つです。
- 問い合わせ受付日
- 顧客の名前
- 顧客の連絡先
- 問い合わせ内容
- 対応担当者
上記に加えて、目的に応じた項目を追加しましょう。自社に合った項目を選定してみてください。
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対応漏れ 防止 |
業務効率 向上 |
対応品質 向上 |
問合せ件数 削減 |
人材育成への活用 |
受付日時 |
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〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
顧客名 |
〇 |
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〇 |
〇 |
連絡先 |
〇 |
〇 |
〇 |
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〇 |
問合せ内容 |
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〇 |
対応担当者 |
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〇 |
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対応状況 |
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対応完了日時 |
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優先順位 |
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回答内容 |
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カテゴリ分類 |
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対応所要時間 |
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〇 |
問い合わせを記録する方法
問い合わせを記録する方法は大きく分けて下記の2通りがあります。
Excel・スプレッドシートを使う方法
気軽に始められる方法として、Excelやスプレッドシートを使う方法があります。
費用がかからず、使い慣れたツールなので導入ハードルが低いというのが最大の利点です。
また、項目やレイアウトをカスタマイズしやすいこともメリットといえるでしょう。対応が完了した問い合わせは行をグレーアウトするなど、書式も工夫するとより使いやすくなります。
無料のテンプレートをもとに管理表を作成すると効率的です。
出所:問い合わせ管理表Excelテンプレート/メールディーラーより(参考:ダウンロードページ)
問い合わせ管理システムを使う方法
問い合わせ管理に特化したシステム「問い合わせ管理システム」を活用すれば、自動的かつリアルタイムで必要な情報を記録しておくことができます。
情報更新の即時性と、入力の手間や転記ミスが発生しない点が、Excelやスプレッドシートにはないメリットです。
データの記録・管理以外にも、問い合わせ窓口の一元化や担当の自動振り分けなど、便利な機能が搭載されており、業務効率化に役立ちます。
有料のツールですが、問い合わせ件数や対応人数が多い場合は特に費用対効果を出しやすいので、検討してみてはいかがでしょうか。
問い合わせ管理表を作る際の注意点
効果的な問い合わせ管理表を作るためには、運用開始前の設計が非常に重要です。特にExcelやスプレッドシートでの管理を検討している方は、下記3点に注意しましょう。
項目を適切に設定する
自社の状況や活用目的に合わせて、適切な項目を設定しましょう。
項目不足はもちろん、過剰にたくさん項目を設定するのもよくありません。記録する担当者にとっては負担が大きくなりますし、入力ミスも起きやすくなります。
分析の際にも不要なデータが多いと情報把握が難しくなります。
記入ルールを決める
記入方法に一貫性がない場合、集計・分析がうまくできなくなってしまいます。
「日付は年月日で入力する」「氏名の間には半角スペースを入れる」など、記入ルールを明確にしておきましょう。
Excelやスプレッドシートで管理する場合は、プルダウンや関数などを活用し、表記ゆれが起きないように準備しておくとよいでしょう。
セキュリティ対策をする
問い合わせ管理表には顧客情報などの重要なデータが含まれるため、セキュリティ面にも配慮しなければなりません。
Excelであればパスワードの設定、スプレッドシートであればアクセス権の制限を適切に行い、情報漏洩を防ぎましょう。
STEP2_分析・活用
ここからは、収集したデータの分析方法と具体的な活用イメージをご紹介していきます。
今回は、着目すべき指標や分析の方法、分析結果をどのように業務に活かすべきかを、具体的な事例を交えて解説します。
問い合わせデータ分析の必要性
顧客からの問い合わせは貴重な情報源です。
問い合わせ内容や対応を分析することで得られる効果を、品質改善および業務効率の視点から整理しましょう。
顧客の新たなニーズを発見できる
顧客から寄せられた問い合わせを分析すると、売り手視点では気が付きにくい顧客の新たなニーズを発見できる可能性があります。
問い合わせの内容を分析して、顧客が現状どのような課題を抱えているのか、自社が提供する製品に何を期待しているのかを把握できれば、製品開発やマーケティングの訴求内容、営業トークの改善にも活かすことができます。
実店舗及びECでのフラワーショップを経営されている株式会社日比谷花壇様は、問い合わせメールの分析をサイト改善に役立てています。
サイトの利用方法に関する問い合わせ件数を集計することで、コンテンツの見直しや説明文の修正など、サイト改善のための指標として活用されています。
出典:株式会社日比谷花壇様の導入事例/メールディーラーより(参考:事例紹介ページ)
顧客満足度の向上につながる
問い合わせの内容から顧客の不満を読み解くことができます。製品への不満だけでなく、スタッフの対応品質に対する不満が見つかることもあるでしょう。
優秀なスタッフの一連の対応を分析することで、成功の法則が見つかるかもしれません。個人のスキルや勘に頼った属人的な対応を脱却し、部門全体の成果を底上げすることができるのです。
業務効率の改善につながる
問い合わせデータを分析することで、「こんな質問にはこの回答」と模範解答が積み上げられていきます。
その結果、問い合わせに対する回答を対応スタッフが個別に考えたり調べたりする必要がなくなります。顧客に回答するまでにかかる時間が短縮されて、対応効率が上がります。
問い合わせデータ分析における重要指標
問い合わせを分析するために最も基本的な指標は、以下の3つです。
- 問い合わせ件数
- 解決率
- 初回回答するまでにかかった時間
これらの指標に、問い合わせ内容別や担当者別、顧客属性別といった軸を掛け合わせて分析します。
問い合わせ件数は問い合わせの内容ごとに分類して定点観測を行います。例えば、サポートが必要な技術的な問題、価格や契約に関する問い合わせ、機能や使い方に関する質問、製品改善提案などに分類します。
単純な質問に対応リソースがとられている場合は、説明書やサイトの情報を見直すことで改善が図れるでしょう。
解決率は、あらゆる問い合わせ対応部署において最も重要視される指標です。全体の数字とともに、対応者ごとの数字を定点観測することで、社員教育に活用できます。
初回回答までにかかる時間は顧客満足度に直結するため、優先的にチェックすべき指標です。この指標を改善するためには、部門全体の体制を見直す必要があるかもしれません。
問い合わせデータ分析の方法
問い合わせデータの分析方法について、代表的な以下の2種類をご紹介します。
KPI分析
KPIとは、Key Performance Indicatorを略した言葉で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。
最終の事業目標であるKGI(Key Goal Indicator)を達成するための中間指標として設定されるのがKPIです。KPI分析を行うことで目標の達成度を可視化することができ、目標達成までのプロセスを明確にできます。
KPIは、「顧客満足度を向上させる」「レスポンスを早くする」といった定性的なものではなく、「初回回答までの時間を3時間から2時間にする」など、数値目標に落とし込むべきです。
KPIを設定するためには、一定期間データを収集して現状を正確に把握する必要があります。解決率や問い合わせ件数、初回回答までの時間などを数値化し、それぞれ現状からどのように改善したいのかを考え、数値目標を設定しましょう。
KPIを設定したら達成のための行動プランを構築し、実際に改善に取り組みます。定期的に指標をチェックして達成具合を確認しましょう。数値が改善していなければ原因を考え、さらに対策を検討・実施することで、PDCAを回しましょう。
ネットショップ運営における豊富なノウハウを活かしたEコマース支援事業を手掛けるセレクチュアー株式会社では、実際にメール対応にかかった時間を集計されています。
そのデータをもとに、対応時間の目標設定を行い、顧客対応のスピード向上を実現されています。
出典:セレクチュアー株式会社の導入事例/メールディーラーより(参考:事例紹介ページ)
VOC分析
VOC分析のVOCとは、Voice of Customerを略した言葉です。
つまりVOC分析は、顧客から寄せられるさまざまな意見を分析するということです。前述の通り、顧客からの問い合わせ内容は、同じ商品やサービスに対するものでも様々な内容に分類できます。
このようなVOCをまとめて、どのような問い合わせが多いのか、どんな傾向があるのかを調べるのがVOC分析です。
VOC分析を行うと、商品やサービスに対する顧客の評価やニーズを浮き彫りにできます。顧客のニーズを満たすことで商品やサービスを改善すれば、顧客満足度が向上し、結果的に業績の伸長にも役立ちます。
VOC分析を実施する際には「4Aサイクル」と呼ばれる顧客マネジメント手法が有効です。
- Accept:顧客の声を収集する
- Analyze:収集した声を分析する
- Acknowledge:分析した結果を共有する
- Act:共有された内容をもとに改善策を実行する
顧客の声はトレンドなどによって常に変化します。一度分析して満足するのではなく、これらの工程を常に循環させられるよう、体制や環境を整えましょう。
分析結果と活用例
問い合わせの分析は、先ほどもご説明した通り業務効率の改善には欠かせないものです。
しかし、データ分析はそれ単体では価値を発揮しません。得られたデータを解釈し、実行できる施策に落とし込んではじめて、業務改善が実現します。
いくつか具体例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
同じような問い合わせが多い→FAQを改善して対応効率化
VOC分析の結果、同じような内容の問い合わせが多いとわかることがあります。
たとえば「使えるクレジットカードの種類を教えてほしい」「エラー番号が出ているがなんのエラーか知りたい」などの質問は、どこの問い合わせ部門でも多く寄せられるのではないでしょうか。
もしホームページにFAQを用意していないのであれば、作成することで顧客が問題を自己解決しやすくなります。すでにFAQがあるのに活用されていないのであれば、FAQまでの導線が悪いことを疑う必要があります。
商品ページのお問い合わせボタンのすぐ上にFAQボタンを設置する、ボタンの色を目立つものに変えるなどしてみるといいでしょう。
顧客用ではなく、社内専用のFAQを作成することでも、すぐに回答を引き出せるようになり問い合わせ対応の効率化を図れます。
対応に時間がかかっている→スタッフの教育強化・運用の見直し
KPI分析の結果、対応に時間がかかっているとわかった場合には、問い合わせの運用体制に問題があると考えられます。解決するには、以下のような対策を検討するといいでしょう。
スタッフの教育強化
対応に時間がかかっている場合には、そもそもスタッフの対応時間に対する意識レベルが低いことが考えられます。
とくにこれまで対応時間を指標とせず、測定していなかった場合には、スタッフが「対応が遅い」と認識していない可能性があります。
この場合、指標として数値目標を掲げるだけで意識が変わり、対応時間が改善されることが少なくありません。
まずは現在かかっている時間を数字として認識させたうえで、期限を定めて目標を達成するように、意識改革をすすめましょう。
対応テンプレートの作成
スタッフ教育を強化しても対応スピードが改善しない場合には、対応の流れのなかでどこに時間がかかっているのかを精査する必要があります。
顧客からの問い合わせに対する対応内容をスタッフそれぞれが考え、それに時間がかかっているようなら、対応テンプレートを作成することで対応時間を短縮できます。
たとえば顧客から電話で問い合わせがあった際に必ず聞かなければならない内容は、誰でも同じことが質問できるように、テンプレート化してフォームを作っておきましょう。上から順番に質問し、入力も手入力ではなくプルダウンメニューから選べるようにしておけば、時間短縮につながります。
メール対応であれば、よくある質問に対しての返信テンプレートを作成しておけば、スタッフがそれぞれ個別に回答を考える必要がなくなります。新入りスタッフもベテランと同じ対応が可能になるため、回答品質を一定のクオリティに保てることもメリットです。新人教育にかける時間やコストの削減にも役立ちます。
想定外の要望が発生している→製品開発・マーケティングへの活用
これまであまり寄せられなかったような新たな内容の問い合わせが増えている場合は、現在公開しているFAQやマニュアルでは対応できなくなっていると考えられます。内容を再度見直し、よく聞かれる質問を追加しましょう。
また、新しい内容の問い合わせが増えているということは、顧客の新たなニーズが発生している可能性が考えられます。
今後のマーケティングや製品開発に活かせないかという点も踏まえ、他部門とも情報を共有することが大切です。
問い合わせデータ分析で業務改善を実現!
問い合わせデータの分析は、業務効率化や顧客満足度の向上、製品開発への活用など、たくさんのメリットがある重要な取り組みです。
集めたデータをただ集計するのではなく、目的意識をもってデータを分析しましょう。価値ある示唆を見つけられるはずです。本記事を参考に、問い合わせデータの分析を始めてみてはいかがでしょうか!
この記事を書いたライター
株式会社ラクス メールディーラー
「メールディーラー」は、メールの対応状況を見える化し、返信漏れや二重返信を防止するメール共有管理サービスです。問合せ管理のノウハウやメール対応に関するお役立ち情報の提供により、顧客対応に関わる方々の支援を行っています。