インサイドセールスのBDR・SDRとは?それぞれの違いや活用したいツールなどを解説
山田理絵
2024.11.07
インサイドセールスには「BDR」と「SDR」の2つの手法があります。それぞれ「アウトバウンド型か、インバウンド型か」「対象とするのは大企業か、中小企業か」などの違いがあるため、BDRとSDRを正しく理解して使い分ける必要があります。
本記事では、BDRとSDRの違いを解説し、成果を高めるためのツールを紹介します。
そもそもインサイドセールとは?
本記事で解説していく「BDR」と「SDR」は、インサイドセールスの手法です。では、そもそも「インサイドセールス」とはどのような意味なのでしょうか?インサイドセールスとは、日本語で「内勤営業」と訳されるように、顧客に訪問せずにオフィスや自宅などの場所から非対面で営業活動を進める営業手法および部門です。電話やメールで営業活動を行う企業が多いですが、最近では非対面でも相手の顔を見ながら商談を展開できる、オンライン商談ツールも一般的になってきました。
従来、企業の営業活動は顧客のもとに訪問する外勤営業、つまり「フィールドセールス」が主流でした。しかし、フィールドセールスのみでは以下のような課題を抱えることも珍しくありませんでした。
- 移動時間や交通費がかかる
- 人手不足のため、すべての顧客に訪問できない
- 検討度合いの低い顧客にも訪問してしまい、無駄足になることもある
これらの営業課題を解決できる方法として、インサイドセールスが注目を集めるようになったのです。
- 非対面のため移動時間や交通費がかからない
- 従来の移動時間だった時間をアプローチの時間として使えるため、より多くの顧客対応ができる
- 継続してコミュニケーションを取り購買意欲を高めていくため、受注確度の高い商談を創出できる
さらに新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、社内外の人と非対面でやり取りすることを推奨する企業も増えたことで、インサイドセールスの需要がより広まりました。
インサイドセールスのBDRとSDRとは
インサイドセールスと一口に言っても、顧客へアプローチするスタイルによって「BDR」と「SDR」に分けられます。BDRとSDRとはどのような営業手法なのか解説していきます。
BDR(新規開拓型)とは
BDRとは「Bussines Development Representative」の略称で「新規開拓型」と言われるインサイドセールス手法です。営業リストなどをもとにターゲットを決め、電話やメールなどを使ってアプローチをして接点を創出し、信頼関係を築いていき受注確度を高めていきます。
自社で接点をもちたい企業をターゲットにして戦略的にアプローチしていくため、エンタープライズ企業(大企業・大手企業)へアタックする際に活用されることが多いです。
SDR(反響型)とは
SDRとは「Sales Development Representative」の略称で「反響型」と言われるインサイドセールス手法です。Webサイトの問い合わせフォームや資料ダウンロードなど、リードが起こした何らかのアクションをきっかけにして営業活動が始まります。
一般的なSDRは、マーケティング施策を通じて獲得したリードに対してアプローチし、フィールドセールスへと引き継ぐ役割のため、日本で多く活用されているインサイドセールス手法となります。
BDRとSDRの違い
BDRとSDRの大きな違いは「アウトバウンド型か、インバウンド型か」という点です。
BDRは自社でターゲットとなる企業を設定して能動的にアプローチするため、アウトバウンド型のインサイドセールスとなります。一方のSDRはリードからのアクションを起点にしてアプローチを始めるため、どちらかというと受動的な姿勢となり、インバウンド型のインサイドセールスというイメージです。
BDRはエンタープライズを対象としたABM戦略
BDRは自社が接点をもちたい企業をターゲットとして能動的にアプローチして関係を構築していくため、ABM戦略に向いている手法です。
ABMとは「アカウントベースドマーケティング」のことで、ターゲットとするアカウント(企業や団体)を具体的に設定して戦略的にアプローチしていくBtoB営業の手法です。
ABM戦略は、主にエンタープライズ企業をターゲットとする場合に活用されます。なぜならエンタープライズ企業は「意思決定に関わる関係者が多い」「稟議のプロセスが複雑」などの理由で検討期間が長くなりやすいため、戦略的にアプローチしていかなければなかなか成果につながらないからです。
そのため、ターゲットとするエンタープライズ企業を選定し、どのようなアプローチを仕掛けるか戦略を立てて、BDRを行っていく必要があります。単に自社商品・サービスをアピールするだけではなく、意思決定者や稟議プロセスに関する情報を収集したり、検討がスムーズに進むよう資料を用意したりするなど、多方面からのアプローチが求められます。
SDRはSMB企業を対象としたインバウンド型セールス
一方のSDRは、SMB(Small to Medium Business:中小企業)を対象とすることが多いでしょう。
SMBは、企業によっては意思決定者本人がWebサイトなどを経由してお問い合わせを行うため、検討期間が比較的短い傾向にあります。そのため、SDRが購買意欲を高める情報を適切に提供することで、スムーズに営業プロセスが進みやすいのです。
BDRとSDRどちらも両立することが重要
BDRとSDRは同じインサイドセールスでも、手法やターゲット層が異なります。
BDRが対象とするエンタープライズ企業はユーザー数が多いため、一件の受注が決まっただけで大口の契約になり、大きな収益となります。しかし解約となると、大きな損失を生むことになるでしょう。
一方、SDRが対象とするSMBは、一件一件の受注金額は低いものの、企業数は膨大です。日本の企業のうち99.7%がSMBだという調査結果もあるほど日本はSMBが多いため、SDRにも注力しなければなりません。
(※データ出典:中小企業庁)
このような理由から、BDRかSDRどちらかに比重が傾くことは避けたいものです。そのため、どちらも両立して進めていくことが重要と言えるでしょう。
BDRとSDRが求められるようになった背景
インサイドセールスをBDRとSDRに分けるようになったのはなぜなのでしょうか。その背景を解説します。
BDR:エンタープライズは解約率・収益率共に安定している
企業の営業活動にBDRが必要とされている背景には「エンタープライズの受注を獲得するメリットが大きい」ということが挙げられます。
エンタープライズは、ユーザー数が多く導入プロセスも複雑なため、導入するまでは慎重に時間をかけて進みます。そのため、一度導入すると簡単に解約することはほとんどありません。
また、ユーザー数が多いため、導入につながると大きな収益が期待できます。たとえばユーザー単位で月額料金がかかるサブスクリプション型のSaaSの場合、数百名規模のエンタープライズに導入してもらうことができれば、毎月膨大な利用料金が安定的に入ってきます。
このように、エンタープライズが顧客になることで大きなメリットがあるため、BDRをうまく活用して受注できるよう取り組む必要があるのです。
SDR:リードの購買意欲が高いうちにアプローチできる
SDRが求められている背景には「リードの購買意欲が高いうちにアプローチできるため、受注率を高められる」という点があります。
SDRは、リードの問い合わせや資料請求などのアクションが起点となります。問い合わせや資料請求などのアクションを行うリードは、自社の商品・サービスに対して購買意欲が高い状態です。しかし問い合わせしてから数日経ってもレスポンスがないと、次第に購買意欲は下がっていくでしょう。
そこで、SDRがリードからのアクションがあったら速やかに対応することで、購買意欲が下がらないうちに営業活動を進められます。タイミングよく情報提供を行ってさらに購買意欲を高めた段階でアポイントの打診をすることで、スムーズに商談へとつなげられるでしょう。
BDRやSDRを成功させるおすすめツール
最後に、BDRやSDRの業務を促進して成果を高めるために役立つツールを紹介します。
【問い合わせ対応】Tayori
特にSDRでは、問い合わせ対応ができるツールを活用すると、リードからの問い合わせ対応が効率化してスムーズに営業活動を進められます。
「Tayori(タヨリ)」は、問い合わせフォームやチャットなど顧客対応ができる機能が充実しているツールです。フォームからきた問い合わせは受信箱へと保存され、対応のステータスを管理できるため、対応の漏れや遅れを防ぎます。また、チャット機能は相手とリアルタイムでやり取りができるため、リードの購買意欲が高いうちにスムーズに対応できます。
Tayori:https://tayori.com/
【MA】Marketo(Adobe Marketo Engage)
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を効率化するための機能を搭載したツールです。
「Marketo(マルケト)」は、メールやSNS、SMSなどの複数のチャネルをまたいでリードとやり取りができます。搭載されたAIがWebサイトやメールに最適なコンテンツを提案してくれる機能もあります。ABM向けの機能も搭載されているため、BDRの業務を促進できます。
Marketo(Adobe Marketo Engage):https://business.adobe.com/jp/products/marketo/adobe-marketo.html
【CRM/SFA】Mazrica Sales
CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)は、顧客情報や案件情報などの営業活動に関わる情報を一元管理できるツールです。
「Mazrica Sales(マツリカセールス)」は、案件ごとにカード形式で管理できるため、やり取りや商談などの履歴を一目で把握できます。AIが受注確度やリスクを予測する機能もあるため、優先すべきリードの選別やアプローチ戦略の立案などに活用できるでしょう。
Mazrica Sales:https://product-senses.mazrica.com/
【ABMツール】FORCAS
ABMツールは、ターゲットリストの作成や企業分析などを行えるツールで、ABMを効率的に進めることができます。
「FORCAS(フォーカス)」は、既存の顧客リストをアップロードするだけで、受注につながりやすい企業の特徴を分析してくれます。また、企業に関する情報や業界情報などをまとめて表示するため、ターゲット企業の理解を深められます。
FORCAS:https://www.forcas.com/
【クラウド電話】MiiTel
クラウド電話システムを活用すると、パソコン上で電話業務ができるため、固定電話を購入・設置する必要がありません。
「MiiTel(ミーテル)」は、画面上の電話番号をクリックするだけで電話をかけられます。自動音声の設定や、嫡子時の振り分けなども可能です。通話内容はすべて自動で録音・文字起こしがされ、AIが話す速度や話し方などをスコア化します。
MiiTel:https://miitel.com/jp/
まとめ
BDR(新規開拓型)はアウトバウンド型のインサイドセールス、SDR(反響型)はインバウンド型のインサイドセールスです。このような特徴をもつため、BDRはエンタープライズ企業、SDRはMB企業をターゲットとすることが多い傾向にあります。
しかしながら、どちらかに比重が重くなると、顧客層が偏ったり失注時の損失が多大になったりするなどのリスクも考えられます。BDRとSDRの違いを理解したうえで、どちらも両立しながら進めていくことが重要です。
アディッシュ株式会社は、多くのカスタマーサクセス業務の支援実績を活かし、事業のグロースに関するご相談を承っております。インサイドセールスに関する知見もございますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
この記事を書いたライター
山田理絵
不動産営業を経験後、アディッシュにて、カスタマーサクセス関連商材のインサイドセールスを担当し、初期接点から課題の顕在化をし機会創出を行う。 趣味はポールダンスと料理。