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「SmartHRらしいサポート」を実現!スタートアップ企業の成長につながる、カスタマーサポート業務のアウトソースという選択肢

今回ご登場いただくのは、労務管理クラウド4年連続シェアNo.1の、クラウド人事労務ソフトSmartHRを開発・販売する株式会社SmartHR(https://smarthr.co.jp)、カスタマーサポートグループマネージャーの鵜原様、CS管理ご担当の長谷様です。


成長著しい同社では、2022年10月よりCS業務をアディッシュへ委託。CSチームとして新たな取り組みへ歩みを進めていらっしゃいます。


ただ、その決断にはスタートアップならではの悩みもあったとのこと。今日は、アディッシュによるCSサポート導入前の課題や決断の背景を伺いながら、スタートアップ企業のCSアウトソースを実践する上でのヒントを考えていきます。

(聴き手:アディッシュ株式会社 執行役員 加藤 大輔)

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目指したのはお客様に安定したサポートを提供し、会社の成長に耐えうる組織を作ること

加藤:今日はありがとうございます。早速ですが、今回SmartHRさんはなぜアウトソースを考えられたのでしょうか。背景やきっかけについて教えていただけますか。


鵜原:はい。きっかけの前に、まず私たちCSチームと弊社の状況についてお伝えさせてください。CSチームが担当するのはチャットサポート業務です。今は20人弱のメンバーですが、私が入社した2020年7月ごろは6、7人で、それぞれが現場対応を協力してこなしていました。

ただ元々は労務管理に特化したプロダクトだったのが、この2年間で人事労務・人材マネジメントと一気にプロダクトが増えました。そのため、メンバーの増員・採用の問題は常態化しつつあり、アウトソースについてもいつかはお願いすることになるのでは、と漠然と思っていました。


SmartHRでは事業の性質上、年末調整という人事労務の繁忙期の影響を大きく受けます。この時期の問い合わせ件数は通常の2.5倍から3倍程度。インハウスのメンバーだけで対応していましたが、この期間は、問い合わせへの回答速度も大きく落ち込み、一番困っている時期のお客様へ安定したサポートが提供できないという課題がありました。

それに、本当に全力投球でそれ以外の施策に割く余裕がありません。その間に事業で何か大きな動きがあったとしても、サポートグループは追従できず、ボトルネックになっていると感じていました。


現場はオペレーションを回すので精一杯です。機能の改修が頻繁なこともあり、過去の履歴を都度検索しながら対応するなど、非効率な状態が続いていました。マニュアルやテンプレートの作成も徐々に進めていたものの、誰でも同じ対応ができるようなものではなく、採用後の研修・オンボーディングにかかる時間とコストが課題でした。


また、オペレーションが整い定型化が進むとチャットサポートの面白みは減ってしまうので、担当者のモチベーション管理は悩みどころです。ただ、他社サービスにも負けないよう、今後はチャネルを広げ、サポートの価値を高めていく必要があると考えています。ですから、いつでもアクセルを踏める環境を作りたかったんです。


まずはお客様に安定したサポートを提供して、会社の成長に耐えうる組織を作ることを考えるとアウトソースして変化を起こすべきだ、と踏ん切りをつけたタイミングでした。


加藤:なるほど。長谷さんの視点から見た課題についても聞かせていただけますか?


長谷:「年末調整シーズンの慌ただしさを解消したい」というのは現場で痛感していました。私は去年の8月、年末調整の繁忙期前に入社したんです。なんとか年末調整までに独り立ちしようと必死でしたが、教えていただくのが申し訳ないくらいに皆さん忙しい様子で。圧倒されましたね。


加藤:鵜原さん、メンバーの研修はどのような流れで行われていたのでしょうか?


鵜原:まずはSmartHRのサポートスタンスと機能への理解が必要です。「基本機能」を理解していただいた後、各担当プロダクトへと対象を拡げながら網羅的に問い合わせ対応ができる状態に育てていきます。


最初の1ヶ月はほとんど座学で、その後はメンターのサポートを得ながら実際の問合せ対応を重ねていきます。2ヶ月目後半から3ヶ月目あたりに単独での対応デビューというようなスケジュール感でしょうか。ただ、実際はしっかりメンターを任命してサポートできる状態ではなく、複数人に確認依頼して出来る人に教えてもらうという状態になってしまっていました。


そんな状態ですから、弊社では年末調整という山場に向けて直前の数ヶ月は採用もストップしてしまいます。研修のフォローも十分にできないので、7月までしか受け入れられないんです。8月中旬採用の長谷さんは特例中の特例ですよ(笑)。

 

 

一体感を維持できるのか。CS業務をアウトソースすることに対する不安

加藤:いつかは、というつもりだったアウトソースも、現実的に考え始めると不安に思うことがあったのではないでしょうか。


鵜原:はい、ありましたね。実は一度、派遣の方に入っていただいてリソース問題の解決を試みたことがあったのですが、あまりうまくいったとは言えなくて。SmartHRへの帰属意識を持って「サポートやプロダクトを良くしていこう」というモチベーションを持っていただくのが難しかったんですね。

どこかで私たちSmartHRの大事にしている「人が欲しいと思うものを作ろう」というカルチャーとフィットしない。自社プロダクトではありませんし、そもそもガチガチにカルチャーマッチを求めるのも違うかなと思うものの、サポートはSmartHRの顔となるポジションです。ですからそこに一体感がないと、安心してお任せできません。そんな経験もあって、切り出してお願いすることが可能なのか不安に感じていました。


長谷:当時、私たちはサポート業務のオペレーションを標準化できていない状況でした。でも、メンバーが各々のリテラシーや個性を発揮し、多様性を生かしたチーム力で課題を解決させているという自負もあったのです。

それをアウトソースするとガチガチになってしまうのではないか、と不安に思いましたし、正直、失敗するかもしれないと考えていました。でも、そうして失敗して、自分達に足りないものや、改めて改善すべきポイントがより明確になるならそれも一つの選択肢だと。


鵜原:そうなんです。15、6人のフェーズだったからこそ踏み切れたと思います。不安ではあるものの、これ以上大きくなった組織では容易に判断ができなくなる。試すなら早いほうがいい、という思い切りですね。


加藤:社内での理解をどのように得ていったのでしょうか。


鵜原:意思決定はCSチームに委ねられているので、社内で特別な提案活動などは行っていませんでした。むしろ、お客様のための取り組みとして応援してくれる声が多かったです。社風もありますが、サポートの状況は常に社内で発信されていたので、繁忙期に困っているお客様を十分にサポートできない課題は共通認識となっていたというのが後押ししてくれたと思います。


加藤:全社で課題感を共有できるというのはスタートアップらしい距離感ですね。


鵜原:そうですね。ちなみに、CSチームでは満足度の指標を96%以上と設定しています。これは繁忙期も維持できていますが、実は問い合わせされるお客様が「忙しいだろうから」と気遣ってくださるというのもあって。

満足度の数字には表れないものの、回答時間についての改善を希望するコメントが追記されているケースが目に見えて多いんです。こうしたVOC(Voice Of Customer)からも、お客様にもっと良いサービスを提供したいという気持ちが募りました。


私は着任前にCSの経験がなかったものですから、社外のアドバイザーの方に業界におけるCSの経験値、知見などを求めて色々相談させていただいていました。この方に「オペレーションが標準化できていないような状況でも、アウトソースを前向きに考えてくれる会社さんっていますか?」と尋ねて紹介してもらったのがアディッシュさんでした。

 

SmartHR様記事画像2

 

頼れる「縁の下の力持ち」がいればもっと前に進める

加藤:はじめにお話を伺ったとき「これとこれをアウトソースしたい」というような整理まではできていなくて、そこも含め委託先に求めていると感じたのは覚えています。アディッシュに依頼していただいた決め手はどの辺りだったんでしょうか。


長谷:私たちの状況を聴きながら寄り添ったご提案をしてくれたところでしょうか。最初のご提案はSmartHRの機能全体、サポート業務全体に対するプランでしたが、こちらの体制も整っていない部分もまだまだあるし…と戸惑って「年末調整対応のアウトソースからスモールスタートして、その後拡張するというやり方はありですか?」と率直にお伝えしたんです。

加藤さんは状況を聴きながら、その場で私たちにメリットがある進め方を具体的に説明してくださいました。そのため、納得感を持ってスタートできましたね。
それに必要な情報は積極的に聞いてくれるのもありがたいと感じました。こちらが判断しなくてはいけない場合も色々な材料を出してくださるので、検討しやすかったです。


鵜原:アウトソースのデメリットは、インハウス特有の一体感が持てないことだと思うんです。要望を深ぼってヒアリングし、リリース後に要望をくれたお客様に報告する『SmartHRらしいサポート』は、現場で自分が対応しながら作っていくもの。スタートアップでカルチャーを大事にしている会社だからこそ、インハウスでの一体感にこだわってきました。なので、この点が払拭されない限り絶対アウトソースはしないということだけは決めていたんです。

それに、一番大事なのはどんな価値を提供していただけるかであって、金額が安いかどうかという点ではありません。カスタマーサポート代行というと、単純にコストを下げるために定型化した業務をできるだけ早くすることとイメージされがちです。でも、私たちが求めているのはもっと自分達のサポートの価値を高めること、お客様により良いサービスを提供することです。

ご提案いただいた『縁の下の力持ちプラン』は目指す方向が合っていると感じましたし、一つひとつの業務の進め方に関しても当事者目線で率直な疑問や意見を投げかけてくださるので、アディッシュさんなら頼れると思いました。


加藤:ありがとうございます。アディッシュはお客様のサービスをもっと前に押し上げるサポートをする存在でありたいと考えています。縁の下はお任せいただいて、お客様自身のプロダクトをスケールさせ、ユーザー満足度を高めるために時間を使ってほしいですね。


SmartHR様記事画像3

 

プロジェクト始動までに乗り越えるべき壁

加藤:それでは次に、導入決定後、準備で大変だったことや注意点などがあれば教えていただけますか。


鵜原:私は承認プロセスを進めただけで、そんなに苦労はしていません。経営会議でもプロダクトサイドのVPから「ユーザーからプロダクトへのフィードバックが担保されるならOK」というコメントがあったくらいで、すぐに承認を得られました。担当の方の研修スタートに漕ぎ着けるまで、現場でがんばったのは長谷さんです。


長谷:大変だったこと…。一番時間がかかったのは、セキュリティ・コーポレートIT・法務など社内の各チームとの調整ですね。自社のセキュリティ要件をクリアしつつ、実務面で不便にならないような環境を他社のオフィスに用意するのは思っていたよりハードルが高いものでした。

アディッシュさんからも情報システムの専門知識をお持ちの方にご協力いただいて。他社ではどうやっているかという参考情報を提供していただきながら、なんとか乗り越えました。


加藤:アウトソースってプロダクトのようにお試し、というわけにはいかないので、セキュリティの問題はつきものですね。SmartHRさんがアウトプットしているセキュリティ要件はかなり厳しいものでしたが、長谷さんを含めアジャイルの姿勢だったので、その速度感を大事に、最適な対応をとりたいと思いました。


長谷:ありがとうございます。でもこの点は、SmartHRという会社の姿勢にも助けられました。新しいチャレンジをするときに、どの部門にも親身に相談に乗ってくれる存在がいる会社です。ほとんど1日以内にリアクションがくるし、アウトソースに対する後ろ向きな反応もない。弊社だったから今回の繁忙期を見据えた準備も間に合ったと思います。


鵜原:弊社で難航したセキュリティ面での調整も、初めて業務委託をするスタートアップは必ずぶつかる問題だと思います。ただ、個人情報の取り扱いに関する不安って、起点は利用するユーザーさんの不安ですよね。ユーザーさんにより良いサービスを提供するためのアウトソースですから、長い目で見れば、今後はそのハードルが下がっていくのではないでしょうか。弊社のように、思い切ってパートナーにお任せするスタンスを取ることで、組織や事業を成長させるチャレンジに舵を切る会社さんが増えていけばいいなと思います。

先にお話しした通り、弊社ではアウトソース決定時に「これとこれ」と業務や情報を整理してお伝えできる状態ではありませんでした。でも、アディッシュさんは最終的に稼働するところから逆算して、いつまでにこういうものを作りましょう、と順を追って一緒に準備を進めてくださいました。単純に「こちらが切り出した業務を代わりにやってもらう」のではなく、同じ方向を向いて仕事を創っていくパートナーなのだととても心強く感じました。


加藤:今日はいろいろと嬉しいお言葉をありがとうございました。私たちも今回SmartHRさんとご一緒させていただき、成長するスタートアップにおいてアウトソースが果たす役割や、そのために重要なパートナーシップのあり方など、改めて考える機会になりました。

続編では実際に稼働し始めてからのお二人の所感や、両社のパートナーシップにおいて成果につながっている重要な点、SmartHRのサポートの今後の展望などをテーマにお送りできればと思います。次回もよろしくお願いいたします。

 


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