VUCAとは?生き抜くために企業やリーダーに求められるスキルを紹介!
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武田龍哉
2025.03.27

VUCA時代にどのように備えるべきか不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
今回はVUCAについて解説します。
この記事を読むことで、VUCAの意味が明確になり、ビジネス環境の変化が激しい中での備え方が理解できるようになります。
未来に向けて力を貯えたい企業やリーダー層の方々に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
VUCAとは
VUCAとは不確実性が高く、未来の予測が非常に困難な状況をいいます。
「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取ったもので、呼び方は「ブーカ」です。
2010年代からデジタル化が加速したり、中国が経済面における影響力を拡大したりとさまざまな出来事が起こり、変化が激しい世界情勢を表す言葉としてビジネスでも利用されるようになりました。
不確実な要素が多く未来の予測が難しい中で、企業とリーダーは生き抜くために備えなければなりません。そのため、VUCAという言葉が知れ渡るようになりました。
変動性(Volatility)
変動性とは、ビジネス環境の変化のスピードが速いことを指します。
例えば、インターネットが普及して、顧客の購買行動がオフラインからオンラインへと移行し始めました。また、商品を選ぶ際はインフルエンサーの情報や口コミ・評判を参考にするなど、顧客自身で比較・検討するようになりました。さらに、近年ではAIが登場したことで情報収集の方法が大きく変わろうとしています。
ECサイトの立ち上げやコンテンツ提供、AI活用など適応できない企業は衰退してしまうでしょう。
不確実性(Uncertainty)
不確実性とは、将来何が起こるのかを正確に予測できないことを指します。
突如発生した新型コロナウイルスは大きな混乱をもたらしました。三密を回避するために訪問営業ができなくなったことから、リモートワークやECサイト立ち上げなどの対応できたかどうかで業績に大きな差が出ました。このような不確実で予想できないことにも、適応していかなければなりません。
日本は自然災害が多い国です。地震や台風、豪雨、火山噴火がいつ起きるかわからないため、BCP対策はしておきましょう。
複雑性(Complexity)
複雑性とは、複数の要素が複雑に絡み合っていることを指します。
ロシアによるウクライナ侵攻は、ロシアとウクライナだけの問題ではありません。国際貿易の制約によりエネルギー価格や食料価格が高騰しました。円安で輸入コストが上がり、各社が商品の値上げを発表しています。このような物価上昇を誰が予測できたでしょうか?
このように複数の要素が複雑に絡み合っており、将来何が起こるのか予測しづらくなってきています。そのため、想定通りに物事が進まないことを理解しておきましょう。
曖昧性(Ambiguity)
曖昧性とは物事の因果関係が曖昧であることを指します。同じようなビジネスモデルでも、Aは成功してBは失敗することがあります。
例えば、コロナ禍では、さまざまなデリバリーサービスが登場しました。その中でも売上を伸ばせたのが「UberEats」と「出前館」です。しかし、撤退したデリバリーサービスと何が異なるのか、なぜ成功したのか因果関係を見つけづらいと言われています。
VUCAが注目されている背景
VUCAは2010年頃から変化が激しい世界情勢という意味で利用されました。
2016年に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCA world」という言葉が使われて、多くの人に認知されるようになりました。
VUCA時代は、いつ既存のビジネスモデルが通用しなくなるか予測できません。
例えば、AIは目覚ましい発展を遂げています。野村総合研究所のレポートによると20年後には日本の労働人口の約49%が人口知能等で代替可能となると言われています。
引用:『野村総合研究所 News Release』
約半数の仕事がなくなる未来を想像できますか?このような予測不能な出来事が起こる時代、企業やリーダーは生き残る方法を考えていかなければなりません。このような危機が訪れてきているため、VUCAという言葉がビジネスで利用されるようになりました。
VUCA時代にはどのようなことが起こるか?
困難な状況でも乗り越える方法を考える前に、VUCA時代はどのようなことが起こるのかを理解しておきましょう。VUCA時代に起こることは大きく3つに分けられます。
想定外の出来事が次々と起こる
VUCA時代は想定外の出来事が次々と起こります。
私たちの身近で起こる想定外の出来事といえば、バズや炎上です。SNSでバズれば、商品が予想外に売れます。一方でSNS炎上をすれば企業危機に追いやられてしまいかねません。SNS炎上により破産、倒産に追いやられた企業も存在します。
このような予想と外れる、想定外の出来事が次々と起こるのがVUCA時代の特徴です。
業界の概念を覆すサービスの登場
ビジネスでは業界の概念を覆すサービスが続々と登場しています。
例えば、タクシー業界では「Uberタクシー」という新サービスが登場しました。Uberタクシーは一般乗用車の運転手と顧客をマッチングさせるサービスです。
このようなライドシェアサービスは法律で禁止されていましたが、2024年4月1日より一部地域で解禁されました。ライドシェアサービスの登場によりタクシー会社は大きな打撃を受け、倒産件数が過去最高を記録しています。
このように想定外の出来事が起きるため、既存ビジネスがいつまで通用するか予想しづらくなってきています。
今までの常識が非常識になる
今までの常識が非常識になることもあります。
例えば、平成時代はコミュニケーションとして、会社の飲み会が開催されていました。しかし、令和時代は会社の飲み会にしつこく誘うとハラスメントと咎められます。
また、性別や人種差別などに注目が集まり、アニメやTVCMなどではポリコレを意識しなければならなくなりました。VUCA時代では「昔は〇〇だったのに」という常識が非常識となることが多々あります。
VUCA時代を生き抜くために企業に必要なもの
不確実な要素が多く未来の予測が難しい中で、企業が生き残るために必要なものは6つあります。
ビジョンを明確にする
VUCA時代に備えるために、ビジョンを明確にしておきましょう。
ビジョンとは、企業の将来像や展望をいいます。ビジョンが浸透すれば、従業員は会社がどのような目的で存在しているのかを理解できるようになります。
予期せぬ出来事が起きたときは、速やかに意思決定しなければなりません。その際に、会社のビジョンを理解していれば、どのような選択がベストなのか判断しやすくなります。
データドリブン経営を行う
複数の要素が複雑に絡み合い因果関係が曖昧になってきている中で、正しい意思決定をするためにデータドリブン経営を行いましょう。
データドリブン経営とは、データに基づいて判断・意思決定することをいいます。データ分析することで、予期せぬ問題を発見できるようになります。
近年、未来をスピーディに見通すために、データサイエンティストを採用する企業も増えてきました。
DX推進に取り組む
あらゆる業界でビジネスとデジタルは切り離せないものとなりました。デジタルに対応できなければ、業界内で遅れを取ってしまい損失が出てしまうでしょう。このような損失を出さないためにも、DX推進に取り組んでください。
DX推進は書類の電子化、ITツールを活用した業務効率化から取り組みます。その後に、デジタルを活用したビジネス改革ができないかを考えると満足できる結果が出やすくなります。
多様な人材を採用する
VUCA時代は多様な人材を採用しておくと、ビジネス環境の変化に対応しやすくなります。
全ての従業員に同じような教育をしていた場合、既存ビジネスが通用しなくなったに危機的状況に陥ってしまいかねません。このようなリスクを踏まえて、さまざまなスキルを持った人材を採用しましょう。
VUCA時代、企業競争力を上げるために人種や性別、宗教など異なる人を採用するダイバーシティ経営に励む企業が増えてきています。
イノベーションを創出する
業界の概念を覆すような商品・サービスを作れば有利な立場になれます。そのため、イノベーションが生まれやすい環境を作りましょう。
イノベーションが生まれやすい職場は、失敗は成功するための過程だとトライする文化があります。長年の経験や成功体験に捕らわれることありません。
企業の中には、イノベーションコンテストを開催して新規事業を立ち上げているところもあります。
リスクマネジメントを行う
VUCA時代は、どのような出来事が起こるか予想しにくいです。そのため、不測の事態に陥っても慌てずに済むようにリスクマネジメントを行いましょう。
例えば、日本は自然災害が多い国です。大地震が起こる可能性もゼロではありません。災害時に事業の復旧に時間がかかればダメージが膨らみます。このような際もデータバックアップを取得する、ITシステム障害時の代替方法を検討しておくなどのBCP対策をしておけば被害を最小限に抑えられます。
VUCA時代にリーダーが身につけるべきスキル
企業が備えることをご紹介しましたが、併せてリーダーが身につけるべきスキルを把握しておきましょう。VUCA時代にリーダーが身につけるべきスキルは6つあります。
適応力
VUCA時代はビジネス環境の変化スピードが速く、予想外の出来事が起きるため適応力が求められます。適応力とは新たな環境に適応する能力です。
例えば、新型コロナウイルス感染拡大時は3密回避で、これまでの訪問営業ができなくなり、オンライン商談へ移行となりました。過去の栄光などにしがみつくのではなく、変化に適応できた人が売上を伸ばすことができました。
近頃はテクノロジーの発展スピードも凄まじく、これらに対応できるかどうかが勝敗を決めるとも言われています。そのため、これからのリーダーには変化への適応力が求められます。
情報収集力
VUCA時代は業界の概念を覆すサービスが続々と登場します。そのため、リーダーは情報収集力を磨き、自社の脅威やビジネス機会をキャッチする力が求められるようになります。
インターネットやSNSの登場で情報が溢れ返っている中で、本当に正しい情報であるか見極めることが大切です。
GAFAがIT業界を牽引しているように、ビジネス環境の変化が海外から生まれることもあります。そのため、国内の情報だけでなく海外の情報も収集するようにしましょう。
仮説構築能力
VUCA時代はビジネスの因果関係が把握しにくくなってきているため、リーダーは仮説構築能力を磨いていかなければなりません。
仮説構築能力とは、ビジネスの課題を解決するために仮説を立てて検証することをいいます。
仮説・検証を繰り返すことでビジネスの因果結果が見つけられるようになります。ビジネスの失敗要因と成功要因を発見することができれば、事業成長させていけるようになるため、仮説構築能力を磨きましょう。
意思決定力
ビジネス環境の変化のスピードが速い中で意思決定が遅いと、他社に遅れを取ってしまいかねません。そのため、VUCA時代のリーダーには意思決定力が求められます。
意思決定力は複数の選択肢から最適なものを選び、自信を持って行動することです。意思決定力のあるリーダーは先の読めない時代の羅針盤になります。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見極める能力をいいます。VUCA時代は、さまざまな出来事が起きますが、リーダーはあらゆる物事の本質を捉えて適切な判断を下していかなければなりません。
曖昧で抽象的な問題に直面した場合でも、論理的に考えて、周囲の人が納得する答えを導き出さなければなりません。そのため、VUCA時代のリーダーには、コンセプチュアルスキルが求められます。コンセプチュアルスキルは、普段から物事を理論的に考えることで鍛えられます。
コミュニケーション能力
VUCA時代で生き残るためには、従業員が主体的に動きイノベーションを生み出せる環境づくりが欠かせません。その土台を作るために、リーダーはコミュニケーション能力を磨きましょう。
コミュニケーション能力とは、円滑な意思疎通を行うための力ですが、相手から情報を引き出す力でもあります。
相手が話す内容だけでなく、非言語(表情や声のトーン)から真意を見抜き対話していき信頼関係を構築することで強い組織が作れるようになります。そのため、コミュニケーション能力を磨いておきましょう。
VUCA時代に有効な「OODAループ」
VUCA時代はビジネス環境に適応するために、迅速な意思決定が行う必要があります。そこで有効だと注目を浴びているワークフレームが「OODAループ」です。
OODAループは「Observe(観察)→Orient(状況判断)→Decide(意思決定)→Act(実行)」を繰り返して迅速な意思決定を行えるようにするものです。
Observe(観察) | 必要な情報を収集する |
Orient(状況判断) | 情報を整理して状況を把握する |
Decide(意思決定) | 現在の課題を解決するための施策を検討する |
Act(実行) | 施策を打つ |
OODAループは前の工程に戻ることも許されており、迅速な意思決定と行動ができるとして評価されています。VUCA時代に対応するために書かせないものとされているため、課題を解決したい際にはOODAループを活用するようにしましょう。
まとめ
VUCAとは不確実性が高く、未来の予測が非常に困難な状況をいいます。
VUCA時代には、業界の概念を覆すサービスが登場するなど予想外の出来事が続々と起こります。このような時代を生き抜くためには、企業は経営を見直し、リーダーは必要なスキルを磨くことが重要です。
この記事では、VUCA時代に対応するために、どのような準備をすべきかをご紹介しました。ぜひ、これを機会に見直しをしてみてください。
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この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。