マーケティング戦略とは?戦略の立て方やフレームワーク・成功事例を紹介
前田千波
2024.11.07
マーケティング戦略とは、マーケティングを進めていく方向性を策定することです。「戦略なくして戦術なし」という言葉もあるように、しっかりとしたマーケティング戦略を立てていれば、効果的なマーケティング施策を実行できるでしょう。
そこで本記事では、マーケティング戦略の立て方や、活用できるフレームワークを紹介します。
マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、自社の商品・サービスを、どのような市場やターゲット層に対し、どのような価値を、どのように提供していくのか、という方向性や取り組み内容を策定することです。
マーケティング戦略を立てていなければ、マーケティング施策の方向性がブレてしまったり、自社の立ち位置がわからないために見当違いの施策を実行したりしてしまい、成果が出にくくなります。そのため、中長期的なマーケティング戦略を立て、事前にあらゆる事態を想定したうえで施策を展開していくことで、マーケティングが成功しビジネスのグロースにつながるでしょう。
マーケティング戦略を立案する重要性
マーケティング戦略を立案するには時間も手間もかかるため、戦略を立てずにマーケティング施策を進める企業も見受けられます。しかし、マーケティング戦略を立案してから施策を実行したほうが、さまざまなメリットが期待できます。
市場のニーズに対応できる
市場のニーズは常に変化しています。たとえば近年の動向で言うと、インターネットの普及によってオンラインショッピングの需要が高まったり、テレワークが広まったことでオンラインでの商談や会議が一般的になったりしていることが挙げられます。
ここ数年でも目まぐるしくニーズが変化しているため、行き当たりばったりの取り組みでは、市場のニーズに追いつけなくなっています。
そのため、定期的にデータを分析して市場の動向や変化を読み取り、どのようなアプローチが有効か検討してマーケティング戦略を立てて進めていくことが重要です。
競合と差別化ができる
現代は市場が成熟し、商品・サービスがあふれている時代です。同じ市場の他社製品のみならず、隣り合う市場の製品で代替できる場合もあるため、同じ市場だけでなく関連し合う市場の動向もチェックしなければなりません。
商品・サービスがあふれているということは、消費者にとって選択肢が増えていることを意味します。膨大な選択肢の中から自社の商品・サービスを選んでもらうためには、機能や価格だけでない価値を提供することが重要です。
そこで、自社の立ち位置や競合他社の現状をしっかりと分析したうえで、消費者にどのような価値をどうやって提供していくのか、というマーケティング戦略を立案することで、競合との差別化につながり自社商品・サービスを選んでもらいやすくなるでしょう。
データに基づいたマーケティングができる
マーケティングの方向性や施策を決める際、「この施策が流行っている」「以前この施策で効果があった」などと、勘や経験をベースにしている企業も多いでしょう。しかし、勘や経験などに頼っていると、自社のターゲット層やビジネスモデルに合わないマーケティング施策を行ってしまい、成果につながらないというリスクが起こりえます。
そのため、最近では「データドリブンマーケティング」と言われる、客観的なデータに基づいたマーケティング手法が注目されています。
しっかりとしたマーケティング戦略を立てるためには、市場や自社に関するデータを緻密に分析し、多角的に情報を整理しなければなりません。そのため、おのずとデータドリブンマーケティングを実現でき、勘や経験などに左右されず、本当に効果のある施策を実行できるでしょう。
マーケティング戦略の立て方
マーケティング戦略を立てるのは難しそうだと感じている人も多いのではないでしょうか。しかし、手順に沿って進めることで、効果的なマーケティング戦略を立てられます。本章ではマーケティング戦略の立案方法をお伝えします。
自社の現状を分析する
まずは自社の現状を把握することからスタートします。自社を取り巻く「外部環境」と、自社内の「内部環境」の両面を分析する必要があります。
外部環境は、市場やターゲット層、競合他社の分析を行います。さらにそれだけでなく、より広い視点で、自社のビジネスに影響がありそうな世の中の情勢や経済なども分析しましょう。
内部環境については、自社の強み・弱みや、自社の顧客などを分析します。また、現状でどのくらいのリソースがあるか把握するために、確保できる人員や予算なども洗い出しておくと良いでしょう。
市場を分析してセグメンテーションする
次は、自社のビジネスの市場を分析し、顧客層ごとにセグメンテーションします。ちなみに、セグメンテーションとは、セグメント(集団/区分)ごとに細分化することを指します。
たとえば「ファストフード」という市場の場合、顧客は「ビジネスパーソン」「家族連れ」「学生」など、さまざまなセグメントに細分化できます。
性別や年代、居住地や職業など、セグメンテーションの基準は企業によって異なるため、自社のビジネスに合った基準でセグメンテーションしましょう。
ターゲット層を設定する
細分化したセグメントの中から、マーケティング戦略でターゲットとする層を設定します。
セグメントごとに課題やニーズが異なるため、自社が提供できる価値や価格設定、アプローチ方法なども変わります。具体的にターゲット層を設定することで、ピンポイントで効果的なマーケティングを実行できるでしょう。
ポジショニングして立ち位置を決める
市場を細分化してターゲットとする市場が決まったら、その市場内での自社が目指すべき立ち位置を定める、ポジショニングを行います。
たとえば、競合他社よりも自社が優れた立ち位置になるには、価格面なのか機能面なのか、といった分析を行い、競合他社にはない立ち位置を定めましょう。
バリュー・プロポジションを定義する
ポジショニングで目指すべき立ち位置が定まったら、それを実現するためのバリュー・プロポジションを定義します。
バリュー・プロポジションとは、顧客に提供できる価値のことです。ここで重要なのが、競合他社には真似できない、自社独自の価値という点です。たとえば「業界最安値」「圧倒的な使いやすさ」「手厚いアフターサポート」「高度な技術力」などがあるでしょう。
また、自社の商品・サービスを利用することで得られるベネフィットも、バリュー・プロポジションになることがあります。顧客目線に立って、自社商品・サービスを利用するとどのようなベネフィットが得られるか検討しましょう。
マーケティングミックス(4P)を検討する
具体的なマーケティング戦略を立案するために、マーケティングミックスを検討します。マーケティングミックスとは、複数のマーケティング要素を組み合わせることです。マーケティングミックスを検討する際には、4Pの視点で考えると良いでしょう。4Pとは、以下の4つの要素を指します。
- Product:何を売るか
- Price:どのくらいの価格に設定するか
- Place:どのチャネルで売るか
- Promotion:どうやって広めていくか
この4つの要素から、具体的にどのようなマーケティングを展開していくのか策定します。
実行し分析・改善を行う
マーケティング戦略を基に施策を実行しますが、やりっぱなしではいけません。ポジショニングで目指している立ち位置に近づいているか、マーケティング施策の効果が出ているか、といった視点で分析する必要があります。
定量的に分析することで、マーケティング戦略の効果を検証できます。
分析結果は、戦略の改善に活用しましょう。戦略の精度が高まれば、さらなる成果につながるでしょう。
マーケティング戦略立案に役立つフレームワーク
マーケティング戦略を立案するには、フレームワークを活用すると効率的です。おすすめのフレームワークを紹介します。
PEST分析
PEST分析は、自社の外部環境を分析する際に活用できます。具体的には以下の項目です。- Politics:政治的要因
- Economy:経済的要因
- Society:社会的要因
- Technology:技術的要因
この4つの要素から、自社を取り巻く環境がどうなっているか把握し、自社にどのような影響を与える可能性があるか分析します。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の外部・内部を分析するフレームワークです。以下4つの要素から分析します。- Strength:自社の強み
- Weakness:自社の弱み
- Opportunity:外部の機会
- Threat:外部の脅威
それぞれの項目を分析するだけでなく、複数項目をクロス分析することで現状や課題をより深く理解できるでしょう。
3C分析
3C分析は、以下の3つの項目から自社と市場、競合他社の関係性や立ち位置を分析するフレームワークです。- Customer:市場(顧客)
- Company:自社
- Competitor:競合他社
それぞれの現状や課題などがどのように関係し合っているか把握することで、より効果の高い次の一手を打ち出せます。
STP分析
STP分析は、マーケティング戦略を立てる際にも重要となるフレームワークです。それぞれ、以下の意味があります。- S:セグメンテーション
- T:ターゲティング
- P:ポジショニング
前章で紹介したように、マーケティング戦略を立てる際にはSTP分析が必要となるため、覚えておきたいフレームワークのひとつです。
4P分析
4P分析は、マーケティングミックスについての項で紹介したフレームワークになります。- Product:何を売るか
- Price:どのくらいの価格に設定するか
- Place:どのチャネルで売るか
- Promotion:どうやって広めていくか
これらが定まっていないと具体的なマーケティング戦略を立てられないため、事前にしっかりと定義しておきましょう。
マーケティング戦略が成功した企業事例
最後に、マーケティング戦略の成功事例を2社紹介します。
ライフネット生命
ライフネット生命は、オンライン専門の生命保険会社です。
従来、顧客にとって生命保険は「保険料が高い」「複雑でわかりにくい」などの課題があり、将来のために保険に加入したくてもハードルが高いと感じている層もいました。
しかしライフネット生命はわかりやすく手軽な生命保険を提供するために、オンラインを活用することで店舗の賃貸料や光熱費などの経費を抑え、加入しやすい保険料を実現しました。保険の申し込みや給付金申請などの手続きを24時間365日オンラインで行えるため、デジタルサービスを好む若年層から支持を集め、20代から40代までの若年層が全体の約74%を占めています。
(※出典1:はじめてのライフネット生命|ライフネット生命保険株式会社)
(※出典2:当社の強み|ライフネット生命保険株式会社)
スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーは、一人ひとりの顧客のニーズに合った商品を提供することで、唯一無二の存在となっています。ドリンクの種類のみでなく、サイズやトッピングなどで個人の好みにカスタマイズできるため、パーソナライズされた商品を提供しています。
また、店内やドリンクのデザインにこだわることで、顧客の「写真を撮りたい」「みんなに見てほしい」という心理を高め、SNSでの拡散によってさらなる集客につなげています。SNS時代の現代にマッチした戦略と言えるでしょう。
まとめ
効果的なマーケティングを行うためには、緻密な戦略が不可欠です。しっかりとしたマーケティング戦略を立案できれば、市場のニーズに対応したり競合と差別化できたりするため、自社独自の立ち位置を確立できます。
マーケティング戦略を立案するときは、現状を把握したうえで効果的な方法に落とし込んでいきましょう。本記事で紹介したフレームワークも活用しながら、自社に合ったマーケティング戦略を立案することが重要です。
アディッシュ株式会社は、これまでのカスタマーサクセスの支援実績で培ってきた戦略立案のノウハウを活かし、マーケティング戦略の立案・実行をサポートしています。マーケティング戦略に課題を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いたライター
前田千波
前職のITベンチャーにてインサイドセールスの立ち上げに参画し、SDR・BDR共に経験。特にSNSを活用したアポ創出を行う。 アディッシュではインサイドセールスの新規開拓推進担当として、カスタマーサクセス商材を中心にアポ創出やチーム構築に携わる。大分県在住