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【カスタマーサポート部門のAI活用実態調査】AIで浮いた時間は顧客への能動的な連絡・フォローへ充てる担当者が57.7%

この記事の要点

    • AIを活用しているBtoC中心のカスタマーサポート担当者のうち57.7%が、AIで浮いた時間を「顧客への能動的な連絡・フォロー」に使っています。
    • 「カスタマーサポート部門で空いたリソースは、問い合わせを処理する受動的な部門から、顧客体験やLTVを向上させる能動的な部門(カスタマーサクセス的役割)へ移行していくべきである」という考え方に、82.0%が「そう思う」と回答しました。一方、今後1〜2年で自身の役割・業務内容が変わる予定の人は18.4%でした。
    • カスタマーサポート部門の強みは、顧客の生の声に最も近いことです。自社の顧客にとっての「成功」を改めて定義し、その声をもとに現状とのギャップを分析し、関係部署と改善していく取り組みが考えられます。

 


 

AIの導入で、カスタマーサポートの現場では何が変わったのでしょうか。アディッシュは2026年10月、カスタマーサポート業務(電話・メール・チャット等での問い合わせ対応)に携わる会社員329名を対象に、インターネット調査を実施しました。

 

回答者は、担当する顧客が主に個人(BtoC)の228名と、主に法人(BtoB)の101名に分かれます。本記事では、BtoC中心の228名の回答を中心に、BtoB中心の101名との比較を交えながら、結果の一部を速報としてご紹介します。

 

調査から見えてきたのは、AIで生まれた時間が顧客への働きかけに向かい始めている一方で、担当者の役割の変化はまだ追いついていないという姿です。

 

AIの回答は7割超が「送信前に人が確認する」運用

「テキスト対応において、AIが実際にどこまで対応できているか、最も近いものをお選びください」と聞きました(単一回答、n=228)。最も多かったのは「過去の対応履歴も参照し、文脈に応じた回答文を生成する(送信前に人が確認)」で36.8%でした。

 

次いで「顧客情報や注文・契約データを参照し、その顧客固有の状況に応じた回答を提示する(送信前に人が確認)」が36.0%でした。この2つを合わせると72.8%で、7割超が、AIがつくった回答を人が確認してから送る段階にあります。

 

一方、「顧客データを参照した上で、AIが自律的に回答を送信する(人の確認なし)」は6.6%、「回答に加え、返金処理・契約変更などのシステム操作までAIが実行する」は0.4%でした。人の確認なしでAIが回答を送る段階まで進んでいるのは、合わせても1割に届きません。「FAQ・ヘルプページの内容をもとに、定型的な回答を返す」は9.6%、「AIは活用していない」は5.7%でした。

 

AIは問い合わせ対応の全てを担うというより、人の対応を支える形で現場に入っていることがうかがえます。

 

AIで浮いた時間の使い道は「顧客への能動的な連絡・フォロー」が57.7%で最多

AIを活用している回答者に、AIで浮いたリソースの使い道を聞きました(複数回答、n=215)。最も多かったのは「顧客への能動的な連絡・フォロー」で57.7%でした。

 

「AIの精度改善・運用」が47.0%、「VOC(顧客の声)の分析と他部署共有」が42.3%で続きます。

 

使い道が事前に「明確に決まっていた」「方向性はあった」と答えた人は、合わせて88.8%でした。一方で「他業務との兼務」も29.8%あり、約3人に1人は浮いた時間を別の業務にも充てています。

 

82.0%が能動的な部門への移行に「そう思う」と回答。一方、役割が変わる予定は18.4%

「カスタマーサポート部門で空いたリソースは、問い合わせを処理する受動的な部門から、顧客体験やLTVを向上させる能動的な部門(カスタマーサクセス的役割)へ移行していくべきである」という考え方に対し、どの程度当てはまるかを聞きました。

 

(n=228)。「非常にそう思う」は24.1%、「ややそう思う」は57.9%で、合わせて82.0%が「そう思う」と回答しています。

 

※LTV(顧客生涯価値):1人の顧客が取引期間全体でもたらす利益。カスタマーサクセス:顧客が商品やサービスで成果を得られるよう支援する取り組み

 

一方、今後1〜2年で自身の役割・業務内容が変わる予定かを聞くと、「非常にあてはまる」「ややあてはまる」の合計は18.4%でした(n=228)。BtoB中心の担当者では43.6%であり(n=101)、BtoC中心の担当者は半分以下にとどまります。

 

 

移行に「そう思う」と答えた187名に絞っても、役割・業務内容が変わる予定と答えたのは約2割(40名)でした。担当者個人の意欲の問題というより、能動的な役割を組織として描けていない、あるいは必要なスキルを身につける機会が整っていない可能性が考えられます。

 

AIが定型的な対応を担うようになったとき、人にはどのような役割が残り、どのようなスキルが必要になるのか。調査レポートでは、本調査の結果をもとにこの問いを整理しています。

 

AI導入の効果を「応答・対応時間」で測っている担当者が55.3%で最多

AIを活用している回答者に、AI導入の効果を何で測っているかを聞きました(複数回答、n=215)。最も多かったのは「応答・対応時間」で55.3%、次いで「CSAT(顧客満足度調査)等の顧客満足度」が45.1%でした。

 

BtoB中心の担当者(n=72)は、顧客満足度(63.9%)、解約率・継続率(56.9%)、応答・対応時間(51.4%)、対応件数(47.2%)と、複数の指標を幅広く測っています。背景には、いくつかの要因が考えられます。

 

法人顧客は数が限られ、契約の更新や解約を1社ごとに把握しやすいこと。1社あたりの契約金額が大きく、1社の解約が売上に与える影響が大きいため、継続を重視して測る動機が強いこと。顧客企業ごとに担当者が決まっていることが多く、満足度や対応件数を顧客単位で追いやすいことなどが挙げられます。

 

一方、BtoC中心の担当者は、応答・対応時間と顧客満足度が中心で、「解約率・継続率」は29.3%でした。顧客の数が多く、解約という形で離反が見えにくい商材も多いため、サポート部門の中で把握しやすい指標を中心に取得していることがうかがえます。

 

注目したいのは、浮いた時間の使い道として最も多いのが「顧客への能動的な連絡・フォロー」(57.7%)である点です。応答・対応時間は、AIによる効率化の成果を測る指標です。フォローのような新しい取り組みの成果は、こうした効率の指標だけでは見えてきません。

 

カスタマーサポートの強みを生かした働きかけの考え方

解約の手続きがない商材では、顧客は何も言わずに離れる

BtoCで成果を測りにくい理由の1つは、商材によって「継続」の形が異なることです。サブスクリプション(定額制)のように契約の更新日がある商材なら、解約の有無で継続を判断できます。

 

一方、ECや店舗のように解約の手続きがない商材では、顧客は何も言わずに離れていきます。離れたことに企業側が気づく機会がないため、解約率という指標そのものが成り立ちにくくなります。

 

だからこそ、働きかけを考える際は、顧客がどんな課題を抱えていて、何を働きかければ顧客の成功を支援できるのかを、先に整理しておくことが考えられます。

 

顧客の成功を定義し、生の声からギャップを埋める施策を打つ

カスタマーサポート部門の強みは、顧客の実際の声に最も近いところにいることです。顧客がどこで迷い、何に不満を感じ、本当は何を期待していたのかを、日々の問い合わせを通じて肌で感じています。

 

この強みを生かす方法の1つは、顧客の声をもとに、関係部署と改善を進めることです。例えば、同じ質問が繰り返し寄せられる手続きがあれば、案内の文面や画面の表示、商品に同梱する説明書を関係部署と見直します。配送や返品のルールに不満の声が多ければ、その声を根拠に運用の改善を提案します。

 

さらに一歩進めると、自社の顧客にとっての「成功」を改めて定義し、そこから施策を考える方法があります。例えば「購入した商品を問題なく使いこなせている」「次に必要なときも自社を選んでいる」など、顧客が本来たどり着きたい状態を言葉にします。

 

そのうえで、日々の問い合わせで感じている生の声をもとに、その状態と現状とのギャップがどこにあるのかを分析します。ギャップが見えれば、どこに、どのような施策を打つべきかが具体的になります。

 

こうした取り組みは、同じ課題を抱える多くの顧客にまとめて効く点に特徴があります。つまずきが減れば問い合わせも減り、サポートの時間はさらに空きます。

 

効果は、サポートの負担が減ることだけではありません。顧客が商品やサービスを問題なく使いこなし、期待していた状態にたどり着ければ、継続利用や再購入につながりやすくなります。顧客の成功を支援することは、結果としてLTV(顧客生涯価値)の向上にもつながると考えられます。

 

調査レポートで分かること

調査レポートでは、本記事で紹介していない結果と、調査から導いた示唆をまとめています。

    • 電話・テキスト対応で、AIが担っている業務の内訳
    • AI活用の課題(BtoC中心・BtoB中心の比較)
    • 浮いた時間をフォローに使っている人が、効果測定に使っている指標
    • AIが定型対応を担うなかで、人に残る2つの役割と必要なスキル
    • 回答者のプロフィール(役職、従業員規模、事業領域、対応チャネルなど)

調査レポートは、以下のリンクよりダウンロード頂けます。

 

調査概要

    • 調査名:カスタマーサポート部門のAI活用実態調査
    • 調査主体:アディッシュ株式会社
    • 調査方法:インターネット調査(Fastask)
    • 調査期間:2026年10月5日~8日(スクリーニング調査:10月5日~7日、本調査:10月8日)
    • 調査対象:カスタマーサポート業務(電話・メール・チャット等での問い合わせ対応)に携わる会社員
    • 有効回答数:329名(主に個人顧客を担当するBtoCの回答者228名、主に法人顧客を担当するBtoBの回答者101名)

※割合は各設問の回答者数(n)を母数とし、小数点第2位を四捨五入しています。浮いたリソースの使い道と効果測定の設問は、AIを活用している回答者に聞いています。BtoB中心の回答者との比較は101名(効果測定はAIを活用している72名)の回答によります。


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