チームと「同じ目線」で進めるヘルススコア構築 ― 納得感を持って進めた設計と運用のプロセス
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明神寿紘
2026.07.02
私たちアディッシュは、クライアント企業のカスタマーサクセス(CS)領域における伴走支援を行っています。支援の現場では、日々の問い合わせや突発的なトラブルへの対応に追われがちです。その中で、「本来、このお客様はどのような状態が理想なのか」という目的を見失いそうになることも少なくありません。
また、お客様の状態が良いのか悪いのかの判断が、担当者ごとの「感覚」に依存してしまうと、チームで動く際に「次に何をすべきか」の基準が曖昧になり、判断に迷いが生じてしまいます。こうした課題を解消し、地に足のついた支援を行うために、私たちはヘルススコアの再構築に取り組みました。
今回大切にしたのは、立派な仕組みを作ることそのものではなく、チームやクライアントご担当者様と一緒に「これなら納得できる」という基準を作っていくプロセスです。設計の構想から社内の合意形成、そして現場での運用開始に至るまでの取り組みをご紹介します。
数字の前に、目指したい「お客様の姿」を想像する
ヘルススコアを作ろうとすると、ついログイン率やユーザー数といった、手元の数字をどう集計するかという点から考え始めてしまいがちです。しかし、数字だけを追っていても、お客様の本当の課題解決に繋がっているのかを判断するのは難しいと感じていました。
そこで今回は、あえて一度データから離れてみることにしました。支援を行う中で「このサービスを導入して本当によかった」と感じていただけているお客様が、現場でどのような状態になっているのが理想なのかを、改めて思い描くことから始めたのです。
データを見る前に、お客様の「良い状態」を言葉にする
まずは、お客様にどのような変化が生まれていると理想的かを具体的に書き出しました。
「マニュアルを見なくてもスムーズに操作できている」
「定例会で、システムから出たデータをもとに次の戦略を話し合えている」
このように、実際の利用シーンを一つずつ丁寧に言語化していきます。
具体的な描写を積み重ねることで、チーム内での「理想像」がより明確になりました。こうして書き出した内容を、「価値の実現」「運用の安定」「関係性」という3つの軸に整理していきました。これにより、バラバラだった理想像が少しずつ言語化されていきます。
今の支援状況を客観的に振り返る
3つの軸で整理したことで、これまでの支援がいかにトラブル対応などの「運用の安定」に偏っていたかが明確になりました。
「これからは、お客様が本来やりたかったことを叶える『価値の実現』にも目を向けていこう」
こうした共通認識をチームで持てたことは、大きな一歩でした。
「なんとなくの判断」を「共通の基準」に変える
自分の中にあった「なんとなくの判断」を言葉にしたことで、クライアントご担当者様とも「今のお客様はこういう状態ですよね」と同じ目線で会話ができるようになりました。細かなデータの集計を始める前に、まずは「何を目指すのか」を言葉として揃えることが、納得感のあるスコア設計の土台になると感じました。
周囲と「進め方」を合わせ、運用を形にする
構想が固まったら、次は周囲のメンバーとの目線合わせです。設計図が完璧でも、実際に運用するメンバーが納得していなければ、形骸化してしまいます。
そのため、最初から100点満点の仕組みを目指すのではなく、「今のチームで無理なく始められるか」という納得感を重視しました。
失敗から学んだ「3つの選択肢」での提案
当初は、細かい指標を詰め込んだExcelをそのまま共有してしまい、失敗した経験があります。「このデータは取れない」といった細部の議論に終始してしまい、肝心の方向性について合意を得ることができませんでした。
そこで、「梅(現状維持)」「竹(現実的)」「松(理想)」という3つの選択肢を提案する形に変更しました。比較検討することで、「今の自分たちのリソースなら、まずはここから始めるのが妥当だ」と納得感を持って判断できるようになり、その後の運用の準備も、以前より滞りなく進むようになりました。
現場のリアルに合わせて「使い分け」を受け入れる
社内合意を経て挑んだクライアントご担当者様への提案では、「すべてのお客様を一律の基準で測ることは難しい」という、現実的な意見をいただきました。この意見を踏まえ、お客様の状況(フェーズ)に合わせて指標を使い分ける、柔軟な運用に方針を切り替えました。
テストデータに基づき、納得感のある基準を定める
方針が決まった後は、実際にテストデータを取得して検証を行いました。
「何点以上なら優良で、さらなる活用提案をするか」
「何点以下ならリスクがあるから、即座に状況確認を行うか」
といった具体的な基準を、クライアントご担当者様とすり合わせていきました。
単にスコアを算出するだけでなく、数字とセットで「次に誰が何をすべきか」というアクションまで具体的に決めたことで、チームとして迷いなく動き出せる体制が整いました。
まとめ
運用を開始して得られた最大の成果は、スコアという数字そのものよりも、チームやクライアントご担当者様と同じ基準で「今のお客様の状況」を捉えられるようになったことです。
感覚ではなく、「このスコアが下がっているから、一度状況を確認しよう」といった具体的な会話が自然に生まれ、チーム全体の動きも少しずつスムーズになりました。
ヘルススコアは、作って終わりではありません。私たちが大切にしたいのは、スコアを通じて、クライアントご担当者様と一緒に「今のお客様にとっての最善」を考え続けることです。 完璧な仕組みを目指すのではなく、まずは目の前のお客様の状態を丁寧に言葉にすることから、一歩ずつ進めていくことが重要だと感じています。
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この記事を書いたライター
明神寿紘
クラウドサービスのCSとして、30社以上のオンボーディング支援や業務プロセス改善に従事。導入支援から運用フローの最適化、kintone等を活用したDX推進による「仕組み化」まで幅広く経験してまいりました。業務の可視化や属人化解消も得意としており、貴社の課題解決に伴走いたします。
