すべてはお客様に価値を提供するために。アウトソースにおけるパートナーシップのあるべき姿とは
今回のインタビューも、前回に引き続き株式会社SmartHR(https://smarthr.co.jp)
カスタマーサポートグループマネージャーの鵜原様、CS管理ご担当の長谷様にご登場いただき、アディッシュ支援開始後の所感を伺いながらアウトソース先とのパートナーシップのあり方を考えます。またSmartHRのCSチームとして今後の展望についてもお話いただきました。
(聴き手:アディッシュ株式会社 平田優)
おまかせしている人たちもプロなんだと改めて実感
平田:本日はありがとうございます。さっそくですが、普段のサポート業務はどのような感じで進めているのでしょうか。
長谷:毎朝情報共有の時間を持ちつつ、リアルタイムのコミュニケーションはSlack上で行っています。定例ミーティングもありますが、チャットの対応方針に悩むところや提言がある際は、随時相談しながらという形で普段から頻繁にやり取りしながら進めています。
連携時もアディッシュのエージェントの皆さんからはすぐに返信が来て、ものすごくスピード感のある対応をしていただけるので安心です。機能に関するアドバイスをすれば、基本的に現場でそれぞれが判断しながら進めていただけるケースが多いです。
平田:委託した効果をどのように感じていらっしゃいますか。率直な感想をお聞かせください。
鵜原:非常に満足しています。まず、この時期に今後のサービスや組織の拡大について考える時間が取れていることがアウトソースに成功している状態だといえます。この数ヶ月で実感したのが「おまかせする方々もプロである」ということですね。
前回お伝えしたとおり、もともとはアウトソースを成功させるために、自分達の業務をいかにうまく切り出して委託するかが重要だと思っていたんです。だからこそ、自分達で業務を整理し適切と思われる一部を委託することに難しさを感じて、一歩を踏み出せずにいました。
でも、いざお願いしてみて圧倒されたのはプロジェクトメンバーの皆さんのスピード感です。弊社スタッフもオンボーディングに2ヶ月間置いているのに、今回正式に契約したのは9月です。繁忙期に間に合うだろうかとヒヤヒヤしましたが、蓋を開けて見ればなんのその。スムーズに現場が回っています。
立ち上がりもスタートからの習熟も、運用が走り出したあとの改善のスピード感も、すべてに驚きの連続です。一緒に考えていけばいい、と割り切って進めて本当によかったと思っています。こちらが業務を渡さなくては、と思っていたことが恥ずかしくなりましたね。
平田:印象的だったエピソードなどはありますか。
鵜原:今回アディッシュさんに委託したスコープは年末調整のサポート支援ですが、あるときメンバーの方から、お客様からの問い合わせに対してオプション機能のご提案で解決できないか、という相談をいただいたんですね。これは一切研修もしていない機能だったので驚きました。手持ちのカードで解決できなくても何かできることはないかと考えてくださる姿勢や、本気で準備してくださっているのが伝わってきて嬉しかったです。
お客様への価値提供に妥協しない。本質的な業務理解とチームへの共感が生み出す信頼関係
平田:おかげさまでとても良い関係が築けていると感じますが、スタートアップとベンダーという関係において、両者が良好なパートナーシップを築くのに大切なポイントは何だとお考えですか。
長谷:アディッシュの方々はコミュニケーションの仕方をとても工夫されているのを感じました。最初はSlack上のやり取りも硬い感じだったのですが、連携をはじめてすぐの頃、鵜原から「ごめんなさいやすみませんより、ありがとうやOK!のスタンプでリアクションいただけるとみんな喜びます」という趣旨のコメントをしたところ、すぐさま弊社独自のSlackスタンプを多用し、私たちと同じような表現を使ってくださって。空気感ごとこちらに寄せてくださって、初めからチームの一員だったような感じです。スタートアップ特有の「らしさ」を理解してチームに溶け込んでいるので、現場のメンバーはやりやすそうですね。
鵜原:弊社が大事にしているコミュニケーションのバリューの中に「認識のズレを自ら埋めよう」というのがあります。「敬意を持ってフィードバックする」ということにもつながりますが、こうした価値観についても共有できていると感じます。
例えば、回答方針についてメモをお渡しすると「これってこういうことですか?」と、その意図を確認されます。規定の情報を鵜呑みにしないで「ここはこうした方が良いのでは」という意見をはっきり伝えてくださるんです。本質的に仕事の意味を理解しようとすること、また責任範囲を曖昧にせず、お客様に最適な回答と言えるか考えた上で実行しようという姿勢が明確です。ご一緒していて見習いたいと思いました。
ほかに、一度誤った案内をしてしまったときのことも印象的でしたね。その方はまず速やかにお客様にお詫びと正しい案内を行い、その上で私たちに報告をされたんです。細かいエピソードですが、お客様のためにスピードを重視し、真摯に対応されているのを感じました。
これまで弊社のCSチームも、現場での個人の判断を尊重してきました。だからこそアウトソースすることで、その個人の判断が担保されなくなるのが怖かったのですが、アディッシュさんは当事者意識を持って柔軟に対応してくださるので安心です。
平田:ワンチームを目指して価値観を寄せていくことや当事者意識を持って取り組む、というあたりが良い関係に繋がっているのですね。
鵜原:そうですね。私たちのカルチャーを理解し、当事者意識を持って関わっていただいていることがポイントであることは間違いありません。でもその根底にあるのは、いかにお客様の方を向いて対応できるか。つまり、お客様に価値を提供するための真摯な姿勢です。
サポートという仕事はお客様からみた自社の「顔」です。お客様の声に耳を傾け、お客様の助けになること、喜んでいただけることは何か考え続けながら仕事の質を上げることに集中する。お客様へ価値を提供することの重要性に共感し、お客様に向き合ってくださっているからこそ、個々の判断にも不安なく、チームの一員として信頼し合える関係が築けたと考えています。
顧客起点でCSチームの創発の種を芽吹かせていく
平田:それでは最後に、今後のSmartHRのサポートの未来像についてよろしければお聞かせいただけますか。
鵜原:はい。直近では年末調整の時期のサポートを安定して提供できるようになりたい思いますが、SmartHRはコーポレートミッションの実現に向け、プロダクトを急成長させています。このフェーズでやりたいことはたくさんありますね。
その一つがチャネルです。今はチャットのみとなっていますが、電話で問い合わせを希望されるお客様は多いので、拡張していく必要があるでしょう。同様に、サポートへの問い合わせができる方に関してももう少し柔軟に対応できるようにしたいです。
平田:問い合わせができる、というのはどういうことでしょうか?
長谷:今はアドミンアカウント、いわゆる管理者権限でしかサポートが使えないような形になっているんです。でも、お客様の中には大きな部署で活用されていて担当者がたくさんいたり、労務管理を外部の社労士に委託していて、そちらで操作の不明点が発生したりと、一人の方が窓口になるのが効率的とは言えないケースも多くあります。
こちらの受け口を広げることで、情報を集約したり展開したりするお客様の負担を解消したいと考えています。
平田:なるほど。チャネルの拡大以外にも検討されていることはありますか。
鵜原:はい。同様にお客様の負担を軽減するという視点で、サポート領域の拡張も考えたいですね。今は社会保険労務士法との関係で機能的な質問にしか回答していないのですが、労務の専門知識についてその場で確認したいというお客様は少なくないはずです。何かしらそうしたニーズに応えられる仕組みづくりができると良いなと。
それから、弊社が注力するプラットフォーム事業の展開にも追随していく必要があります。これはSmartHRとシームレスに連携可能なアプリストアを立ち上げ、SmartHRユーザーがバックオフィスの業務効率化を支援するさまざまなサービスを容易に利用できる環境を提供するというものです。外部のSaaSとの連携が広がると、今よりさらにテクニカルな問い合わせが増加するでしょう。エンジニアリングのサポートという職能が求められるため、自分達でどこまでやるかは検討する必要がありますが、プロダクトの成長を支えられるように良い体制を考えていきたいです。
このようにCSチームではお客様の声に耳を傾けながら、いかにして価値を提供できるか、高みを目指していきます。私たちは多様なバックボーンを持つメンバーで構成されていて、創発性のあるチームだと自負しています。その個々の力を活かしながら、顧客起点で最適なサポートを実現できるようアディッシュの皆さんにはこれからもパートナーとして力を貸していただけると嬉しいです。
平田:もちろんです!本日も貴重なお話をありがとうございました。