休眠顧客の心を動かす「伴走型アプローチ」とは? ~具体的なトーク例と実践方法~
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扇 凜音
2026.11.05
システムの導入当初は順調に利用が進んでいたものの、時間の経過とともに利用頻度が低下し、次第に使われなくなってしまうケースがあります。
こうした利用が停滞している「休眠顧客」は、顧客が導入時に期待していた成果を得られず、解約リスクが高まる可能性があります。
しかし、休眠顧客だからといって、必ずしもシステムへの関心を失っているわけではありません。適切なアプローチ次第では、解約を防ぐだけでなくアップセル・クロスセルに繋がる絶好のチャンスにも変わります。
本記事では、休眠顧客の利用が止まる背景を整理したうえで、再アプローチの進め方や具体的なトークフレーズ、実際の取り組みから得られた成果を詳しく解説します。
1.休眠顧客がシステムを利用しなくなる3つの背景
システムを導入したものの、次第に利用頻度が落ち、最終的にほとんど使われなくなってしまう「休眠顧客」。ここではオンボーディングが終了した後に、なかなか接点がなく、そこから一定期間ログインがないといったシステムの活用が停滞している顧客を指します。そのような休眠顧客がシステムに触れなくなっている背景には、主に次のような3つのパターンが存在します。
①システムを使わなくても業務が回っている状態
本来はシステムで効率化できるはずであるものの、従来のアナログな運用や代替手段で業務が成り立ってしまい、システムを使う必然性が薄れているケースです。
②利用するタイミングやきっかけを逃している
導入初期に躓いたり、日々の業務が多忙を極めたりした結果、ログインするきっかけを失ったまま放置されているケースです。
③前任者が不在になり、誰も使い方が分からない
導入時の担当者が異動や退職し、十分な引継ぎがされないまま「誰も触れない」状態に陥っているケースです。
こうした休眠顧客に対して、ただ「使ってください」「調子はいかがですか」と連絡しても効果はありません。活用を再起動させ、将来的なアップセルに繋げるためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。
2.利用再開のきっかけとして「一緒に画面を見る打ち合わせ」を設定する
休眠顧客へのアプローチでは、メールや電話での状況確認だけで終わらせず、Web会議などで実際にシステムの画面を一緒に確認する機会を設けることが有効です。画面を見ながら対話することで、顧客がどこでつまずいているのかを具体的に把握し、利用再開に向けた支援につなげやすくなります。
また、最初のアプローチ手段としては、特に「電話」がおすすめです。電話であればリアルタイムに会話ができるため、相手の現状や温度感、潜在的な課題感をスムーズにヒアリングすることができます。
なぜ「画面を見ながらの打ち合わせ」が重要なのか?
実際のシステム画面を一緒に確認することで、顧客側も「そもそも何のために導入したのか」「どこで行き詰っていたのか」「今後どう活用したいのか」といった課題や展望が頭の中で整理されます。
その結果、システムの使用定着(解約リスクの低減)はもちろんのこと、新たなニーズの発見によるアップセル・クロスセルの機会創出が見込まれるのです。
3.休眠顧客へのアプローチで避けたい3つの聞き方
休眠顧客へアプローチする際、良かれと思って発した言葉が逆効果になることがあります。顧客が抱える心理的なハードルやコミュニケーションのトラップを理解しておくことが不可欠です。
NGパターン①:「何かお困りごとはありませんか?」だけで終わらせる
一見すると丁寧なヒアリングに見えますが、急に「困りごと」を聞かれても、顧客側はパッと具体的な課題を言語化できません。結果として「特にありません」と会話が終了してしまいます。
NGパターン②:使えていない理由を一方的に問い詰める
顧客側には「操作が分からないと言いづらい」「使いこなせていない自分が悪い気がする」という気まずさや心理的ハードルがあります。「使いづらいですか?」とストレートに聞くのは、相手を縮こまらせてしまう原因になります。
NGパターン③:「はい/いいえ」で終わる質問を繰り返す
「~で困っていませんか?」「~はお使いですか?」といった「はい/いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)ばかりを投げてしまうと、会話が単発で終わってしまいます。
アプローチの狙いは「なるべく相手に話をさせること」です。オープンな問いかけによって顧客自身に現状や思いを言語化してもらうことで、顧客の中でさえ曖昧だった課題や要望がクリアに整理されていきます。
4.休眠顧客の本音を引き出す「3つの伴走トークフレーズ」
休眠顧客への再アプローチでは、一方的に利用を促すのではなく、「一緒に課題を解決する」という姿勢が重要です。売り込み感を消し、「対 顧客」ではなく「一緒に課題を解決するチーム」としての意識をつくるため、実践的なトークフレーズ(メソッド)をご紹介します。
①心理的ハードルを下げるアプローチ
「弊社が伴走支援に力を入れておりまして、一緒に画面を見ながら操作のご案内や設定方法をご案内したいのですが、いかがでしょうか?」
あくまで営業電話ではなく「既存顧客へのサポート・伴走支援」であることを伝えます。「一緒に」というフレーズを使うことで、チーム意識を醸成し、仮に担当者が使えていない状態であっても相手を責めない心理的安全性をつくります。
②躓きポイントが不明確な顧客へのアプローチ(思考整理を促す)
「理想に近づけられるような使い方を、一緒に探していきませんか?」
「本当は使いたいけれど、どうすればいいか分からない」と困っている顧客に最適です。何に躓いているか分からない状態でも、オープンに問いかけながら実際の画面を一緒に見ることで、顧客自身に語ってもらい、「本当にやりたかったこと・求めていること」の言語化・整理をサポートします。
③導入目的を起点に、現状の課題を確認するヒアリングアプローチ(言語化を促す)
「導入時点での課題は〇〇でしたが、現在はどのくらい解決できていますか?」
導入初期の目的を起点にし、「どれくらい解決できているか」を自分の言葉で話してもらうアプローチです。「使いこなせていますか?(はい/いいえ)」というクローズドクエスチョンにせず、進捗や変化について自由に語ってもらうことで、システムが使えていない理由や、現状の目的に合わせた方向性の再すり合わせがスムーズになります。
5.伴走型アプローチによって得られた成果
これらの「言い回し・アプローチ方法」を意識して顧客とのコミュニケーションを行った結果、以下のような明確な成果が出ています。
対応案件の14件中12件の80%以上が「打ち合わせ」へ移行
単なる営業電話ではなく「伴走」のスタンスでアプローチし、相手の言語化を促すことで、高い確率で実際の画面を見るミーティングへ繋がっています。
自身の担当案件で2件のアップセルを獲得
打ち合わせの中で新たな課題や活用方法を見出し、月額単価50,000円UP×2件のアップセルを達成しました。
6.まとめ:休眠顧客の再活用を支える「伴走型アプローチ」
休眠顧客と聞くと、「すでにシステムへの関心を失っている」「解約寸前の手遅れな状態」とネガティブに捉えてしまいがちです。しかし、利用が止まっている背景には、操作方法が分からない、担当者の変更によって引き継ぎができていない、日々の業務に追われて利用する機会を失っているなど、さまざまな理由があります。
こうした顧客に対して、一方的に利用を促したり、状況を確認するだけで終わったりしても、利用再開にはつながりにくい場合があります。それどころか、使えていない理由を問い詰めるような聞き方は、顧客に心理的な負担を与え、相談しづらくなる原因にもなります。
だからこそ、私たちが大切にしたいのは、顧客と一緒に課題を解決する「伴走者」としての姿勢です。
今回ご紹介した事例では、顧客の状況に寄り添い、活用方法を一緒に考えるアプローチによって、打ち合わせの実施やアップセルにつながりました。
休眠顧客は、必ずしもシステムへの関心を失っているわけではありません。適切なアプローチさえできれば最も伸びしろのある「未来の上客」になり得ます。ぜひ今日からのカスタマーサクセス・営業活動において、この伴走型トークやアプローチを試してみてください。
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この記事を書いたライター
扇 凜音
医療機器営業を経験後、アディッシュのカスタマーサクセスとしてクライアント先のオンボーディングを担当。趣味はバレーボールと御朱印集め。
