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カスタマーサクセスは「コストセンター」?脱却の鍵は能動的なアップセル/クロスセルにあり!

「カスタマーサクセスはプロフィットセンターである。」

近年、多くの企業でそう唱えられるようになりました。顧客の成功を支援することで、顧客満足度を向上させ、LTV(顧客生涯価値)を最大化する。それは、企業にとって収益の柱となるべき重要な役割です。

 

しかし、現実はそう甘くはありません。能動的なアップセル/クロスセルを行えないカスタマーサクセス部門は、ともすれば他部署から「コストセンター」として見なされてしまう可能性があります。顧客の課題解決や満足度向上に注力するあまり、収益への貢献を十分に示せない場合、そのように評価されてしまうのです。

 

「うちのカスタマーサクセスは、ただの御用聞きじゃないか...?」

もしあなたがそう感じているのなら、この記事はきっとお役に立てます。

 

今回は、カスタマーサクセス部門がプロフィットセンターとして輝き、その価値を最大限に発揮するための具体的な手法をご紹介します。顧客の課題を深く理解し、信頼関係を築きながら、自然な流れでアップセル/クロスセルへと繋げる。そんな理想的なカスタマーサクセスを実現するための、ヒアリングと質問テクニック、そしてコミュニケーションスキルを、事例を交えながら解説していきます。

 

この記事を読み終える頃には、あなたはきっと、顧客との関係性をさらに深め、収益へと繋げるための具体的な道筋を見出していることでしょう。

 

アップセル/クロスセルを促進するための具体的な手法

カスタマーサクセスがプロフィットセンターとしてその価値を最大化するためには、能動的なアップセル/クロスセルが不可欠です。

 

ここでは、そのための具体的な手法として、顧客の課題を深掘りするためのヒアリングと質問テクニック、そして顧客との信頼関係を構築するためのコミュニケーションスキルについて解説します。

 

顧客の課題を深掘りするためのヒアリングと質問テクニック

アップセル/クロスセルを成功させるためには、顧客のビジネス目標、課題、ニーズを深く理解することが重要です。そのためには、効果的なヒアリングと質問テクニックが欠かせません。


顧客のビジネス目標、課題、ニーズを把握するための質問設計

顧客のビジネス目標を理解することは、アップセル/クロスセルの方向性を定める上で非常に重要です。以下の質問例を参考に、顧客の目標を明確にしましょう。

 

  • 「御社の現在の事業目標は何ですか?」
  • 「その目標達成のために、最も重要な指標は何ですか?」
  • 「その指標の現状と、理想とのギャップは何ですか?」


次に、顧客が抱えている課題を具体的に把握します。課題を深掘りすることで、アップセル/クロスセルで提供できる価値が見えてきます。

 

  • 「現在、御社が抱えている課題は何ですか?」
  • 「その課題によって、どのような影響が出ていますか?」
  • 「その課題を解決するために、これまでどのような取り組みをされてきましたか?」


さらに、顧客のニーズを理解することで、最適な提案が可能になります。

 

  • 「御社がプロダクト/サービスに求めているものは何ですか?」
  • 「現状のプロダクト/サービスで満足している点は何ですか?」
  • 「改善してほしい点や、追加で欲しい機能はありますか?」


目先の問題と課題を認知するための深掘り

私の経験上、顧客は目先の問題にばかり目を向けがちです。しかし、真のニーズは、その奥に隠れていることが少なくありません。そこで、以下のような深掘りを行うことで、顧客自身も気づいていない潜在的な課題やニーズを引き出すことができます。

 

  • 「なぜ」を繰り返す: 課題に対して「なぜそれが問題なのか」「なぜその解決策を選んだのか」と、3回程度繰り返し想像することで、根本原因に迫ることができます。
  • 具体的な状況を尋ねる: 「具体的にどのような時にその問題が発生しますか?」「その時、誰が、何を、どのようにしていますか?」など、具体的な状況を尋ねることで、課題の解像度を高めます。
  • 未来の視点を取り入れる: 「もしその課題が解決したら、どのような未来が実現できますか?」「その未来を実現するために、他に何が必要ですか?」など、未来の視点を取り入れることで、新たなニーズを発見できます。

 

【事例紹介】

あるSaaS企業では、オンボーディング時に顧客の課題を深掘りするために、「現在の業務プロセスにおけるボトルネックは何ですか?」「そのボトルネックを解消することで、どのような効果を期待しますか?」といった質問を徹底しました。その結果、顧客自身も気づいていなかった課題が明確になり、追加機能の提案に繋がった事例があります。


実際に、その顧客からは、「御社のサポートのおかげで、私たちのビジネス目標達成が大幅に加速しました。特に、〇〇という提案は、私たちだけでは思いつかなかったもので、本当に感謝しています。」という声をいただいています。


【失敗事例からの学び】

過去には、顧客のニーズを十分に理解しきれないままアップセル提案を行い、失敗した経験もあります。その際、顧客からは「私たちの課題を全く理解していない」という不信感を抱かれたこともあります。この経験から、ヒアリングの重要性を改めて認識し、質問設計の重要性を再確認しました。

 

顧客との信頼関係を構築するためのコミュニケーションスキル

アップセル/クロスセルを成功させるためには、顧客との信頼関係が不可欠です。信頼関係が構築できていれば、顧客は提案を受け入れやすくなり、長期的な関係を築くことができます。

 

セールスではない、カスタマーサクセスならではの具体的なヒアリング項目や質問例

カスタマーサクセスは、セールスとは異なり、顧客の成功を第一に考える立場です。そのため、ヒアリングにおいても、セールス的なアプローチではなく、顧客の成功を支援するための視点が重要になります。

 

  • 共感を示す: 顧客の課題や悩みに共感を示し、「私たちも同じような経験があります」「お気持ちお察しします」といった言葉で寄り添うことで、安心感を与えることができます。
  • 傾聴する: 顧客の話を遮らず、最後までしっかりと聞くことが大切です。相槌や要約を効果的に使い、顧客が話しやすい雰囲気を作りましょう。
  • 質問の意図を明確にする: 質問をする際には、「〇〇について詳しくお伺いすることで、より良いご提案ができると考えています」など、質問の意図を明確にすることで、顧客の理解と協力を得やすくなります。
  • 顧客の言葉で語る: 専門用語ばかりを使うのではなく、顧客が理解しやすい言葉で説明することが大切です。顧客の業界や職種に合わせて、言葉遣いを工夫しましょう。
  • 感謝を伝える: 顧客の協力や情報提供に対して、感謝の言葉を伝えることで、良好な関係を築くことができます。

 

これらのヒアリング項目や質問例は、あくまでも一例です。顧客の状況や関係性に合わせて、柔軟に活用することが重要です。


【カスタマーサクセス担当者へのメッセージ】
顧客の成功を第一に考える私たちにとって、アップセル/クロスセルは時に難しい課題です。しかし、顧客の成功と自社の成長は決して相反するものではありません。顧客の真のニーズに応える提案は、顧客にとっても、自社にとっても、最良の結果をもたらすのです。

 

まとめ

この記事では、カスタマーサクセス部門がプロフィットセンターとしてその価値を最大化するために不可欠な、アップセル/クロスセルを促進するための具体的な手法について解説しました。


重要なポイントは以下の2点です。

  • 顧客の課題を深掘りするためのヒアリングと質問テクニック:
      • 顧客のビジネス目標、課題、ニーズを的確に把握するための質問設計
      • 目先の課題だけでなく、潜在的なニーズを引き出すための深掘り
  • 顧客との信頼関係を構築するためのコミュニケーションスキル:
      • セールスではなく、カスタマーサクセスならではの顧客の成功を支援する視点
      • 共感、傾聴、明確な意図、顧客の言葉、感謝など、信頼関係構築のための具体的なコミュニケーション

 

これらの手法を実践することで、カスタマーサクセス部門は、顧客との長期的な信頼関係を築きながら、能動的にアップセル/クロスセルを推進し、プロフィットセンターとしての役割を果たすことができます。


【今日からできること】
まずは、既存顧客の中から5社を選び、この記事で紹介したヒアリングと質問テクニックを試してみましょう。そして、顧客からのフィードバックを参考に、あなただけの質問設計を磨き上げていきましょう。


この記事が、あなたのカスタマーサクセス活動の一助となれば幸いです。


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この記事は著作権を有する Custifyの許可を得て翻訳したものです。 Original article: https://www.custify.com/blog/product-adoption-guide/...
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