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ゼロから5ヶ月でCS体制を構築 ―『MelBridge』が実現した「使い続けられる」オンボーディング設計【三菱電機株式会社様】

はじめに

新規事業としてサービスを立ち上げた際、「導入後に使われない」「継続利用につながらない」といった課題に直面するケースは少なくありません。

三菱電機株式会社が展開する生産現場向けの多言語対話ソリューション「MelBridge®️(メルブリッジ)」においても、リリース初期には同様の課題を抱えていました。

アディッシュは2025年10月から2026年3月にかけて、日本カスタマーサクセス協会代表理事の山田ひさのり氏とともに同社のカスタマーサクセス(CS)立ち上げのコンサルティングプロジェクトに参画。常駐体制でCS業務の設計と運用支援を行いました。

その結果、これまでログインされないケースもあった状態から、契約から1ヶ月以内の初回ログイン率100%を実現。さらに、初回の導入サポートミーティング後からログインまでの期間は、平均1.4日まで短縮され、早期に利用が開始される状態を実現しました。

加えて、オンボーディング完了率は90%に到達し、単なる初回利用にとどまらず、継続利用につながる立ち上がりを実現しています。

本記事では、CS体制がない状態から仕組みづくりに着手し、「使われ続ける状態」を実現するまでの取り組みについて、同社ビジネスイノベーション本部のグループマネージャー前田様と、芝様にお話を伺いました。

プロフィール写真-2


写真左:芝様/写真右:前田様

サービスの特徴と事業背景について


──まずは、サービスの概要について教えてください。

前田様:MelBridgeは、製造現場などにおいて外国人従業員とのコミュニケーションを支援するサービスです。多言語の同時通訳をベースに、サイネージ表示やしゃべり描き機能などを通じて、現場でのやり取りをスムーズにすることを目的としています。

「誰もが、外国人従業員と日本人の間でスムーズに意思疎通ができる世界を実現する。」

この考え方を軸に、私たちは「MelBridge」を単なる翻訳サービスではなく、対話ソリューションとして位置づけています。

MelBridge サービス概要 (1)

──もともとはどのような背景から生まれたのでしょうか。

芝様:最初に開発されたのは「しゃべり描き」の技術です。もう10年ほど前になりますが、聴覚障害のある方とのコミュニケーションを実現したいという、社内デザイナーの思いから生まれました。

その後、社内工場で外国人従業員が増える中で、言語の違いによるコミュニケーション課題が顕在化し、「この技術を現場の課題解決に応用できるのではないか」と考えました。

自社工場での検証を重ねながら、実際の業務に適用できる形にブラッシュアップし、2025年4月に「MelBridge」としてサービス化しました。

私たちビジネスイノベーション本部主導でリリースしたサービスであり、現在は開発から営業、お客様のフォローまで約10名体制で事業を推進しています。

継続利用されないという課題と、CS体制の不在


──今回ご支援を検討された背景には、どのような課題があったのでしょうか。

前田様:「MelBridge」は月額制のサービスのため継続して使っていただくことが事業成長において重要です。メーカーである当社にとっては、SaaS型ビジネスは新しい挑戦であり、それに適した体制が整っていませんでした。

リリース後しばらくの間、導入後のフォローは受動的なサポート中心で、能動的に活用を促すところまで手が回っていませんでした。

その結果、ログインはしても継続して使われないケースや、一度使って終わってしまうケースが発生していたのです。また、解約理由については断片的に情報を取得していたものの、次の施策にどうつなげるかは整理されていない状態にありました。

そうした中で他社をベンチマークしたところ、皆さん「カスタマーサクセス」という役割を導入されていることがわかり、当社でも導入したいと考えたのです。

オンボーディング設計から始めたCSの立ち上げ


──取り組みの内容についてお聞かせください。

前田様:CSを導入しようと決めたものの、社内にはその知見がありませんでした。そこでCSの専門家である山田ひさのりさんにご相談したのです。

※編注:山田ひさのり氏 日本カスタマーサクセス協会代表理事。CSの専門家として多数の企業のコンサルティングを手掛ける。『カスタマーサクセス実行戦略』著者。

その際、構想を実際の業務に落とし込むため、現場に入り込みながらCS立ち上げまで支援できる経験豊富なパートナーとして、アディッシュさんをご紹介いただきました。

今回のプロジェクトでは、CS体制の整備をゴールに据え、特にオンボーディングまでを再現性を持って実行できる状態を構築することを目指して、5ヶ月間の支援を実施しました。

──プロジェクトの進め方についても教えてください。

芝様:最初は現状のキャッチアップから始まりました。CSの体制がない中で、導入後の流れや対応状況を整理し、どのように運用しているかを可視化していきました。キックオフミーティングや初期案内の内容なども含めて、一から設計する必要がありましたが、アディッシュさんには常駐体制でご支援いただきました。

アディッシュの担当者と一緒にオンボーディングを実施しながら、マニュアルの整備や導入後のアンケート設計にも取り組みました。毎週の定例会議で進捗を確認しつつ、着実に仕組みを構築していきました。

──工夫された点についてお聞かせください。

芝様:1つは、ヘルススコアによるモニタリングです。ログイン状況などのデータをもとに利用状況を可視化し、フォローすべきお客様を明確にできるようになりました。ログインが止まっている企業や利用頻度が低い企業に対してはアラートを設定し、適切なタイミングでフォローできるようになった点は大きな変化です。

もう1つは、オンボーディングの段階で「3週間後にアンケートを実施する」とあらかじめスケジュールを設定したことです。最初に予定を共有しておくことで、導入後に放置されることなく、振り返りの機会を確実に作ることができました。

──実際にミーティングを行うことで、新たな気づきはありましたか。

芝様:実際にお客様にお話を伺うと、「ここが分かりづらかった」「こういう使い方ができるとは知らなかった」といった声も多く、その場でフォローできる点は大きな価値だと感じています。

以前は一度使ったきりになってしまうケースもありましたが、継続的に関わることで、お客様の使い方への理解が進みました。いただいたご意見も改善の参考になっており、結果として継続的な利用にもつながってきていると感じています。

初回ログイン率100%、オンボーディング完了率90%を実現


──定量的な変化について教えてください。

芝様:初回ログイン率は、契約から1ヶ月以内で100%となりました。ここでは、契約企業がサービス導入後に一度以上ログインしている状態を初回ログインと定義しています。

以前はログインされない企業もあったのですが、オンボーディングの仕組みを整えたことで、確実に初回利用につなげられるようになったと感じています。

また、初回キックオフミーティング後からログインまでの期間は平均1.4日となっており、立ち上がりのスピードも改善しています。早い段階で使い始めていただける状態を作れたことも収穫です。

前田様:今回のプロジェクトでは、オンボーディングの完了を「週3日以上×3週連続の利用」と定義し、利用状況を定量的に把握できるようにしました。その結果、オンボーディング完了の達成率は90.0%となりました。単にログインするだけでなく、継続的に利用いただける状態に近づいてきていると考えています。

体制がない状態から自走できる状態へ


──今回の取り組みをどのように評価されていますか。

前田様:プロジェクト全体を通して、知見がない状態から、5ヶ月間でここまで体制を整備できたことに満足しています。ドキュメントも整備され、誰が担当しても同じように対応できる状態になりました。

実際にやってみて印象的だったのは、「ヘルススコア」をしっかり追いかけていくこと、「フィールドセールスからCSへの引き継ぎ」をしっかりとルール化・仕組み化することの重要性です。

芝様:支援が終わる際に山田さんからもお話がありましたが、フォローやモニタリングといった「細かいことを続けていくこと」の重要性を、プロジェクトを通じて強く実感しました。

また、オンボーディングの方法だけでなく、お客様との関わり方や踏み込み方についても実践を通じて勉強させていただきました。「フォローの電話にお客様が出ない時にどうしたら良いか」など、とても細かいことでも、適切な方法や関わり方についてアドバイスいただけたことは非常に参考になりました。

定着設計から拡大へ。CSチームの次の挑戦


──今後の展開について教えてください。

前田様:事業としては、製造業での展開を進めながら、物流や小売など他業界にも広げていきたいと考えています。外国人労働者が多い業界を中心に、より多くの現場で活用いただける状態を目指していきます。

また、1つの工場での活用にとどまらず、他の工場への展開も見据えています。そのためにも、まずは現場でしっかり使われる状態を作ることが重要です。

今回整備したCS体制をベースに、運用を通じて継続的に改善していきたいと考えています。


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