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認識のズレを防ぐ“旅のしおり”としてのロードマップ──顧客とチームの目線をそろえるカスタマーサクセスの進め方

こんにちは!アディッシュにてカスタマーサクセス業務を行っている「やみー」こと山本です!

常駐先で業務を進めていると、顧客と同じ方向を見ているつもりなのに、どこかで話が噛み合わない。そんな場面に出会ったことはありませんか。

意見が食い違っているわけでも、合意が取れていないわけでもありません。それでもどこか違和感が残る。私自身、常駐先での業務の中でこうした場面がありました。

こうした認識のズレは、本人には自覚しづらいものです。自分の理解が相手とずれているかもしれないと思っていなければ、すり合わせようという発想そのものが生まれません。

ここで少し、旅行のことを考えてみます。修学旅行では、行き先や立ち寄る場所、移動の順番を書いた「しおり」が配られました。友人同士の旅行でそこまで作り込むことは少ないと思いますが、それでも、どこへ行って何をするのかは、出発前におおまかに共有しているはずです。ところが業務では、この共有をしないまま歩き出していることが多いのではないでしょうか。

この記事で扱うロードマップは、この旅のしおりにあたるものです。目的地はどこで、そこに至るまでにどのフェーズをどの順で通るのかを共有するためのものであり、いつ誰が何をやるかを管理する進捗の計画書ではありません。

ロードマップを描くことで、気づきにくい認識のズレが見える形になり、すり合わせのきっかけを作ることができます。この記事では、私が実際に経験した2つの出来事を紹介したうえで、ロードマップが他のマップや管理ツールとどう違うのか、そして認識合わせがどのような手順で進むのかを整理します。

 

ロードマップがない状況を北海道旅行に例えてみた

チームで北海道旅行に行くことになったとします。全員が「北海道に行く」ことに合意しています。この時点では、誰も反対していませんし、認識が食い違っているようにも見えません。

ところが、それぞれの頭の中を覗いてみると、思い描いている目的地は違っています。ある人は札幌、ある人は函館、ある人は宗谷岬を思い浮かべています。

ここで大事なのは、「北海道に行く」という合意そのものは間違っていないということです。ただ、この言葉は抽象的です。抽象的な言葉のまま合意すると、頭の中の行き先がバラバラでも合意は成立してしまいます。食い違っていないはずなのに違和感が残るのは、この構造によるものです。

 

実際に経験した2つの認識のズレ

ここからは、私が実際に経験した出来事を2つご紹介します。1つ目は顧客のゴールをめぐる話、2つ目はチーム内の目標をめぐる話です。どちらも、頭の中では合っているつもりだったものが、書き出してみると噛み合っていなかった、という点で共通しています。

 

実体験①:ロードマップを描いたら、ゴールの誤解が見つかった話(顧客のゴールをめぐるズレ)

私が担当していた製品には、目的の異なる2つの用途がありました。ひとつは、導入した効果を数字で確かめる「分析用途」です。もうひとつは、日常業務の中で実際に使っていく「業務用途」です。同じ製品でも、使う目的がまったく違います。

顧客のゴールを決めるにあたって、チーム内で「分析用途は別のゴールではないか」という話になりました。目的が違うのだから、たどり着く場所も別なのではないか、という考え方です。この整理には納得感があり、それぞれに別のロードマップが必要だという前提で進めていました。

ところが、実際にロードマップを描き進めていく中で、見え方が変わってきました。この顧客の場合、まず分析用途で効果に納得し、その納得を土台にして業務用途に進んでいく、という流れになっていたのです。分かれ道が2本あるのではなく、一本道でした。そうなると、分析用途はゴールではなく、その手前にある途中経過だということになります。

つまり私たちは、通過点である分析用途を「達成すればゴール」として扱っていたわけです。北海道旅行の例でいえば、札幌に向かう行程の中にある函館を目的地だと思い込み、そこで旅を終えようとしていた状態にあたります。

見落としていたことに気づけたのは、ロードマップを描こうとしたからです。頭の中で考えているうちは、分析用途と業務用途は「目的の違う2つのもの」として並んでいるだけでした。それを1枚の図の上に置き、どちらが先でどちらが後か、どこを通ってどこに向かうのかを線でつなごうとしたときに、順番が見えてきました。話し合いの場で誰かが指摘したわけではなく、描く作業そのものが順番を問いかけてきた、という感覚に近いです。

ただし、これはこの顧客の場合の話です。分析用途だけで完結する顧客も存在します。効果を数字で確認できればそれで目的を果たしている、というケースです。函館が目的地である旅も、当然ながらあります。だからこそ、目的地は顧客ごとに確認する必要があります。他の顧客で正しかった順番を、そのまま別の顧客に当てはめることはできません。

 

実体験②:目標シートの記載が人によってバラバラだった話(社内の目標をめぐるズレ)

新人メンバーの動きが見えづらいという課題があり、目的とタスクを整理するためのシートを作成しました。何を目指していて、そのために今どんなタスクを持っているのかを書き出すシートです。

集まった記載を見ると、目標欄の書き方が人によってバラバラでした。中間目標を書いている人と、最終目標を書いている人が混在していたのです。そこで、目標欄には何を書くのか、そのタスクは何から算出したのかを確認してみたところ、これらについて明確な決まりがないことに気づきました。

個々の記載は、それ単体で見れば間違いとは言えません。中間目標を書くことも、最終目標を書くことも、それぞれに理由はあります。ただ、全体で見ると噛み合っていませんでした。

原因は、向かう方向自体は分かっていても、それがゴールなのか中間地点なのかの区別がついていなかったことにあります。ゴールの解像度が低い状態だった、と言い換えることもできます。方角は合っているけれど、どこで旅が終わるのかが決まっていない状態です。

この状態を揃えるには、「どれが目的地で、どれが通過点か」を目に見える形にする必要があります。認識のズレは、顧客のゴールをめぐってだけでなく、チーム内の日々の目標管理でも起きます。

ロードマップと他のマップ・管理ツールの比較

ここで少し視点を変えて、ロードマップが他のフレームワークとどう違うのかを整理しておきます。ビジネスの現場では、さまざまなマップが使われています。それぞれ目的が異なります。

 

マップ

目的

カスタマージャーニーマップ

顧客の行動・感情・タッチポイントの理解(顧客視点の分析)

サービスブループリント

顧客体験の裏側にある業務・システムの可視化(提供側の設計)

プロセスマップ

業務手順・フローの可視化(オペレーション整理)

ステークホルダーマップ

関係者と影響関係の整理(誰を巻き込むか)

マインドマップ

アイデア・思考の発散と整理(発想)

ロードマップ

目的地とフェーズ・行程の共有(=旅のしおり)

 

どれも有用ですが、この記事で扱ってきた「認識のズレの可視化とすり合わせ」という目的に合うのはロードマップです。

混同されやすい管理ツールとの違い

ロードマップは、ガントチャートやWBSと混同されることがあります。この2つも整理しておきます。

  • ガントチャート:いつ・誰が・何をやるかを管理するもの(進捗管理)
  • WBS:作業を分解し、構造化するもの

どちらも実行段階のツールです。これに対して、ロードマップはその上流にあります。どこへ向かうかが揃って初めて、ガントチャートもWBSも機能します。向かう先がバラバラなまま作業を分解しても、分解した先が人によって違うものになります。

「描く→ズレ発見→すり合わせ」の3ステップと順序の逆転

ロードマップによる認識合わせは、次の3つのステップで進みます。

  1. 描く
  2. ズレを発見する
  3. すり合わせる

1つ目の実体験は、この流れそのものでした。描き進めたことによって、「分析用途は別のゴールである」という前提が誤解だったと露呈しました。2つ目の実体験で見つかった解像度の低さも、この3ステップに乗せて揃えていくことになります。

順番として注目したいのは、描くことが先にくる点です。描こうとすると、それまで隠れていたズレが表に出てきます。そしてズレが見えて初めて、すり合わせができます。逆に言えば、ズレが見えていない段階では、すり合わせようという動きは起こりません。

ここには、感覚とは逆の順序があります。私たちは、解像度が上がったから描けると考えがちです。ゴールがはっきりしてから図にすればよい、という感覚です。ただ、私が経験した限りでは順序は逆でした。描こうとするから、解像度が上がっていきます。何を目的地に置くのか、どのフェーズを先に通るのか、この線はどこにつながるのか。描く作業は、こうした問いを次々に突きつけてきます。答えられない箇所が出てきて、そこで初めて曖昧だったことに気づきます。

ロードマップの価値は、完成した1枚の図そのものよりも、描こうとする過程にあります。

 

まとめ:まず描いてみる

ここまで、認識のズレをすり合わせる手段としてのロードマップについてお伝えしてきました。

描く過程で出てくる問いが、ゴールの解像度を上げます。そして描き終えた後には、リターンもあります。フェーズごとの共通見解ができること、ズレが起きたときに気づくための基準ができること、KPI設計の土台になることなどです。実際、新しいKPIを決める際に、ロードマップのフェーズごとに指標を紐づけたところ、迷わずに決まったということもありました。通過点をゴールだと思い込んでいた話と同じで、どこに向かっているかが揃っていれば、そこに置くべき指標も見えてきます。

まずは描いてみてください。きれいに描き上げる必要はありません。うまく描けない箇所が出てくると思いますが、その描けない箇所こそが、ゴールの曖昧な部分です。そこが見つかった時点で、すり合わせの入り口に立てています。

顧客ともチームとも同じ目的地を見ながら進むために、まずは1枚、旅のしおりを描くところから始めてみませんか。


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この記事は著作権を有する Custifyの許可を得て翻訳したものです。 Original article:https://www.custify.com/blog/scalable-playbooks-grow-customer-base/...
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