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カスタマーサクセスに必要なのは“説明力”ではなく“翻訳力” ― オンライン説明会で見えた顧客とのズレと、その解消法

オンラインでの顧客対応が当たり前になった今、説明会やオンボーディングを担当するカスタマーサクセスの方の中には、「きちんと説明しているはずなのに、どこか手応えがない」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

私自身も、BtoBのオンライン説明会を担当する中で、対面とは異なる難しさを感じる場面がありました。説明はしているものの、顧客にどのように受け取られているかが見えにくく、違和感が残ることも少なくありませんでした。

この経験を通して気づいたのは、カスタマーサクセスに必要なのは単なる“説明力”ではなく、顧客との間にある情報や感情を橋渡しする“翻訳力”なのではないか、ということでした。

本記事では、この“翻訳力”という考え方をもとに、オンライン説明会で生まれる顧客とのズレをどのように解消していくか、具体的な実践方法を解説します。

 

1|オンライン説明会で感じた違和感

オンラインでの顧客対応が増える中で、説明会を担当する機会も増えてきました。
しかし、実際に進めてみると「きちんと説明しているはずなのに、どこか手応えがない」と感じる場面が多くありました。

前職では料理教室で講師として対面の授業を行っており、相手の反応を見ながら説明を調整することには慣れていました。

一方でオンラインでは、参加者のカメラがオフで表情が見えないことも多く、理解度や温度感をつかみにくい状況でした。

質問もほとんど出ないまま進行することがあり、「本当に伝わっているのだろうか」と不安を感じることも少なくありませんでした。

 

2|問題は“説明不足”ではなかった

当初は、「自分の説明が足りていないのではないか」と考えていました。
資料の見直しや説明方法の工夫を重ねてみても、手応えのなさは大きく変わりませんでした。

そこで気づいたのは、問題は説明の量や質ではなく、顧客との間で“翻訳”がうまく機能していないことではないか、という点です。

対面であれば、表情や頷き、ちょっとした反応から理解度や感情を読み取りながら説明を調整できます。
しかしオンラインではその情報が得られにくく、一方通行になりやすい状態が生まれていました。

 

3|必要なのは“説明力”ではなく“翻訳力”

カスタマーサクセスに求められる「言語化」には、大きく3つの要素があると感じています。

 

1つ目は、機能や仕様を伝える「情報の言語化」。
2つ目は、顧客の業務や課題を整理する「状況の言語化」。
そして3つ目が、不安や理解度といった「感情の言語化」です。

 

対面の場では、これらを無意識に行えていた部分も多かったのですが、オンラインでは特に「感情の言語化」が抜け落ちやすくなります。
その結果、「説明はできているのに、伝わっていない」という状態が生まれやすくなります。


例えば、機能の説明自体は正しく行えていたとしても、顧客側で「自社でどう使えばいいのか」がイメージできていなかったり、「運用できるか不安」といった感情が解消されていない場合、理解したつもりのまま進んでしまうことがあります。


その状態のまま導入が進むと、後になって「思っていた使い方と違った」「うまく活用できない」といったギャップが生まれ、結果として活用が進まなかったり、最悪の場合は解約につながる可能性もあります。
つまりカスタマーサクセスにおいて重要なのは、情報を正確に伝えることだけではなく、顧客の状況や感情を踏まえて「どのように受け取られているか」までを含めて設計することです。

だからこそカスタマーサクセスには、単に説明するだけでなく、顧客の状況や感情をくみ取りながら橋渡しを行う“翻訳力”が求められるのではないでしょうか。

ここで実際に、アディッシュで取り入れている「翻訳設計3ステップ」をご紹介します。

 

4|アディッシュで実践しているカスタマーサクセスのための「翻訳設計3ステップ」

 

4-1|先回り翻訳:質問が出ない前提で設計する

オンラインでは、質問が出ないことも多くあります。
しかしそれは、必ずしも理解できていることを意味するわけではありません。

そのため、よくある質問やつまずきやすいポイントをあらかじめ提示することで、顧客の頭の中にある疑問を先回りして言語化することを意識しています。

こうした工夫をすることで、顧客自身も気づいていなかった疑問に気づくことができ、理解が曖昧なまま進んでしまうリスクを防ぐことができます。
結果として、説明会の中で疑問を解決しやすくなり、安心して次のステップに進める状態をつくることにつながります。

 

4-2|具体化翻訳:活用イメージまで言語化する

機能や操作の説明だけでは、顧客が実際に使うイメージを持つことは難しいと感じました。

そこで、「どのような場面で」「どのように使うのか」といった具体的な活用シーンを交えて説明することで、顧客自身の業務に置き換えて理解してもらえるよう工夫しています。

このように具体化することで、「自社でどう活用できるか」が明確になり、導入後のイメージを持った状態で進めるようになります。
結果として、導入後のギャップを減らし、スムーズな活用や定着につながりやすくなります。

 

4-3|感情確認翻訳:理解度と温度を取りにいく

「ご不明点はありますか?」という問いかけだけでは、なかなか本音の反応は引き出せません。

そのため、「ここが難しく感じる方が多いのですが、いかがでしょうか?」など、具体的なポイントを示しながら問いかけることで、理解度だけでなく不安や迷いといった感情も確認するようにしています。

こうした問いかけによって、顧客が抱えている小さな不安や違和感をその場で引き出すことができ、認識のズレを早い段階で解消することができます。
結果として、顧客との信頼関係の構築にもつながり、継続的な活用を支える土台になると感じています。

 

5|まとめ

オンラインでの顧客対応が増える中で、カスタマーサクセスの役割も変化していると感じます。

これまでのように情報を正確に説明するだけでなく、顧客の状況や感情をくみ取りながら適切に橋渡しする力が、これまで以上に重要になっていきます。

こうした“翻訳力”を意識したコミュニケーションの積み重ねが、顧客理解を深めることに繋がります。

その結果、スムーズな活用や定着を促し、顧客の成功を支える基盤にもなっていきます。

 

小さな工夫の積み重ねではありますが、その一つひとつが顧客体験を大きく左右します。
日々の顧客対応の中で、「説明する」から「翻訳する」へと意識を変えることが、より価値あるカスタマーサクセスにつながっていくのではないでしょうか。 


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