問い合わせ対応で「認識のズレ」が起きる人・起きない人の違いとは?スムーズな解決に導く4つのアプローチ

金澤伶奈
2026.07.21
問い合わせ対応をしていると、「顧客と認識がズレている」と感じた経験は少なくないのではないでしょうか。
私自身、ある程度スムーズに対応できている感覚がある一方で、同じような問い合わせであっても、認識のズレが起きやすいメンバー(担当者)もいると感じることがありました。
そうしたケースでは、提示している解決策自体は間違っていないのに、やり取りが噛み合わず長引いてしまっていました。
この違いは、一体どこから生まれてくるのでしょうか。
「情報不足」だけでは説明できない、認識のズレの正体
ヒアリング=情報収集という前提
問い合わせ対応において、ヒアリング力は重要だと述べられていることが多いです。
そしてそのヒアリングは多くの場合、「情報を正確に集めること」と捉えられがちです。そのため、認識のズレが起きた時には、「情報(ヒアリング)が足りなかったのではないか」と原因を結論づけてしまうケースが少なくありません。
情報が揃っていてもズレは起きる
ただ、実際には必要な情報が揃っていたとしても、やり取りが噛み合わなかったり、認識のズレが生じたりすることは少なくありません。
こうした経験から、認識のズレの原因は、単純な情報不足だけでは説明ができないのではないかと考えるようになりました。
認識のズレはどこから生まれるのか
「解釈の固定」という問題
認識のズレの原因は、顧客の言葉を自分の固定観念で解釈してしまう点にあると考えています。
顧客の言葉を受け取った時点で、無意識に自分なりの解釈を当てはめてしまい、その解釈を疑わずに進めてしまうことで、実際の意図や前提と少しずつズレていってしまうのです。
ヒアリング時点で「解釈」は始まっている
「”きちんと”ヒアリングをしているつもり」であっても、そのヒアリング最中にすでに解釈が入り込んでいるという状態になっていることがあります。
そのため重要なのは、この無意識の解釈をいかにコントロールし、顧客と認識を合わせていくかという点です。
認識のズレが起きやすい人の特徴
認識のズレが起きやすい人には、いくつか共通点があるように感じます。
・顧客の言葉に疑問を持たない
顧客の言葉に対してあまり疑問を持たず、その意味を自分の中で都合よく補完してしまい、背景や意図の深堀りをしないで進めてしまいます。
・解釈を一つに絞る
一つの解釈に対して他の可能性をあまり考えず、「こういうことだろう」と決め打ちした時点で、そのまま進めてしまいます。
・仮説をアップデートせず進める
最初の仮説に固定されたまま対応を進めてしまい、認識のズレに気付くのが遅れたり、やり取りが長引いたりします。
認識のズレが起きにくい人の特徴
一方で、認識のズレが起きにくい人は、そもそもの捉え方が異なります。
・常に認識のズレを疑う
相手の言葉に対して、「自分の認識とずれていないか」という視点を常に持っています。
・複数の可能性を保持する
一つの解釈に絞り込まず、他にも考えられる可能性がないかを常に検討しています。
・言語化して擦り合わせる
自分の解釈をそのまま使うのではなく、言語化したうえで相手に合わせた認識を擦り合わせることを前提としています。
認識のズレを防ぐ「4つのステップ」
では、認識のズレを防ぐためには、具体的にはどのように対応すればよいのでしょうか。
シンプルですが、以下の4つのステップに沿ったアプローチが有効です。
①まず疑う
相手の言葉に対して、自分の認識とズレていないかを一度疑います。
例えば、顧客から「使えない」と言われた場合でも、本当に機能として使えないのか、操作方法がわからないのか、あるいは期待していた動きと違うのかで意味は変わり、そのあとのアプローチも変わります。仮に、詳細を確認せずに解決策を提示してしまうと、実際の問題とズレた対応になってしまいます。
②複数の可能性を持つ
顧客の言葉から他に考えられる解釈がないかを考えます。
最初から一つに決め打ちせず、「操作方法の問題か」「仕様の認識違いか」「環境の問題か」など、複数の可能性を持って捉えることが重要です。
もし解釈に迷う場合は、その時点で顧客に確認を入れ、どの認識が近いかを擦り合わせます。
③解釈を言語化して確認する
自分の解釈をそのまま進めるのではなく、例えば以下のように確認します。
「〇〇という認識でお間違いないでしょうか」
「AとBのどちらに近しいでしょうか」
このように、必要に応じて、複数の可能性を提示しながら確認することで、認識のズレを早い段階で防ぐことができます。
④相手の理想を最初に確認する
最も重要なのは、相手が「どうなっていたいか(理想)」を最初に把握することです。
問い合わせは多くの場合、「理想の状態」と「現実」のギャップから生まれています。
そのため、理想を先に把握しておくことで、解釈の方向性自体を揃えることができ、回答のズレも起きにくくなります。
認識の擦り合わせ自体は、すでに実施している人も多いと思いますが、この前提が揃っているかどうかで、認識のズレの起きにくさは大きく変わります。
また、理想が把握できていることで、場合によっては顧客の期待を超える最適な代替案の提案にもつながります。
まとめ
認識のズレは、単なる情報不足ではなく、「自身の解釈を固定してしまうこと」から生まれるケースが多く見られます。
重要なのは、単に「正しく聞く」ことだけではありません。
自分の解釈を疑い、複数の可能性を持つこと。
そして、それを言語化して擦り合わせることです。
さらに、相手の「理想」を最初に把握しておくことで、ズレを防ぐだけではなく、提案の質そのものを高めることにもつながります。
これは問い合わせ対応に限らず、社内調整やチームマネジメントなど、あらゆるコミュニケーションに通じる普遍的な考え方です。日々の業務の中で少しずつ意識し、コミュニケーションの精度を高めてみてはいかがでしょうか。
本記事が、日々の業務のヒントになれば幸いです。

この記事を書いたライター
金澤伶奈
IT機器製品の営業を経験したのち、2025年よりアディッシュにてカスタマーサクセス支援に携わっています。お客様に寄り添う姿勢を大切にし、信頼関係を築きながらクライアントとお客様に最大限の価値を届けることを心がけています。
