CSアイデアソンのすすめ ──社内の未来を考え、思考力を鍛えよう

山本美咲
2026.07.28
こんにちは!アディッシュにてカスタマーサクセス業務を行っている「やみー」こと山本です!
突然ですが、カスタマーサクセス担当者として働く中で、こんな悩みを抱えたことはありませんか?
- 「顧客対応に追われて、自分のスキルを磨く時間が取れない」
- 「常駐先での業務が中心で、社内のメンバーと関わる機会が少ない」
- 「課題発見や提案力をもっと鍛えたいけれど、どうすればいいのかわからない」
これらは、私自身がカスタマーサクセス担当者として働く中で感じてきた悩みでもあります。そして、同じように感じている方は決して少なくないはずです。
今回ご紹介するのは、こうした悩みに向き合うきっかけとして、アディッシュ社内で開催した「カスタマーサクセス向けアイデアソン」の取り組みです。このアイデアソンは、単なる社内イベントにとどまらず、カスタマーサクセスの思考力・提案力を鍛えるトレーニングの場としても非常に有効でした。
この記事では、アイデアソンの基本から、アディッシュ流の工夫、実際の参加者の声、そしてカスタマーサクセスの現場で活きる「思考力メソッド」までを余すことなくお伝えします。
「自分のチームでもやってみたい」
「カスタマーサクセス担当者として成長したい」
そんな方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
アイデアソンとは?
アイデアソンとは、特定のテーマについて参加者が集まり、短時間で集中的にアイデアを出し合うワークショップ形式のイベントです。
「アイデア(Idea)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた造語で、数時間から1日程度の限られた時間の中で発想を広げていくことが特徴です。
似たような言葉に「ハッカソン」がありますが、ハッカソンが「実際に動くプロダクトをつくる」ことを目的とするのに対し、アイデアソンは完成度の高い答えを出すことよりも、多様で新しいアイデアを数多く生み出すことを目的としています。
つまり、アイデアソンは「正解」を出すための場ではなく、「発想を広げる」ための場です。だからこそ、参加するハードルも低く、誰でも気軽にチャレンジできるのが魅力です。
カスタマーサクセスがアイデアソンを開催するメリット
「アイデアソンって、新規事業を考える企画職の人がやるものでは?」と思われるかもしれません。しかし、実はカスタマーサクセスこそアイデアソンと相性が良いのです。その理由を、3つのメリットに分けてご紹介します。
メリット①:カスタマーサクセスの思考力・提案力を磨くトレーニングになる
カスタマーサクセスの日常業務では、顧客の課題をヒアリングし、整理し、改善案を提案する力が常に求められます。
これはまさに、
- 課題を見つける
- 解決策を考える
- 相手に伝える
というプロセスの繰り返しです。
そしてアイデアソンで行う「課題の言語化 → 発想 → 人に伝える」という流れは、このカスタマーサクセスのスキルと完全に一致しています。
例えば、カスタマーサクセス業務では以下のような流れで仕事を進めることが多いはずです。
- 顧客の状況を分析し、課題を発見する
(例:利用状況データから離脱リスクを察知する) - 解決案を検討する
(例:ヘルススコアの作成、オンボーディングプランの見直し) - 顧客や社内メンバーに提案する
この流れは、アイデアソンのプロセスそのものです。
つまり、アイデアソンに参加すること自体が、カスタマーサクセスのスキルを磨く実践的なトレーニングになるのです。日々の業務では「目の前の顧客」が対象ですが、アイデアソンでは「社内の課題」を対象にすることで、視点を変えながら同じスキルを鍛えられます。
メリット②:社内の悩みや課題を解決できる可能性を探れる
普段の業務に追われていると、「なんとなく不便だな」「もっとこうなったらいいのに」と感じても、それを言語化したり、改善する時間を取ったりするのは難しいものです。
アイデアソンは、そうしたモヤモヤを言葉にし、形にする絶好の機会になります。実際にアディッシュ社内で開催したアイデアソンでは、こんな企画が採用されました。
- カスタマーサクセスチーム発信記事のSlack共有の仕組み化
社内メンバーが発信しているにもかかわらず、社内で十分に共有されていなかったという課題への解決策 - 社内委員会活動への参加促進の仕組み化
委員会紹介スライドを作成し、そもそもどんな委員会があるのかわからず、何をしているかも見えていなかったという課題への対応
どちらも、「日常業務の中ではなかなか手が回らないけれど、誰かが取り組めば組織全体が良くなる」テーマです。アイデアソンはこうした“見過ごされがちな課題”を拾い上げる場として機能します。
メリット③:社内交流・企画実行の体験が得られる
カスタマーサクセス、特に常駐型の業務スタイルでは、社内のメンバーと顔を合わせる機会が限られがちです。アイデアソンを通じて、普段は関わらないメンバーと一緒にひとつのテーマに取り組むことで、自然と交流が生まれます。
さらに、「考えるだけでなく、実際に形にする」という体験は、自分の仕事への自信にもつながります。「自分の発案が組織を動かした」という実感は、日々の業務ではなかなか得られない貴重な経験です。
制約のある環境でアイデアソンをやるための工夫
アイデアソンに興味があっても、「うちでは時間が取れない」「集まれない」と感じる方は多いはず。ここからは、私たちが実際にぶつかった制約と、それをどう乗り越えたのかをご紹介します。
ぶつかった制約
アディッシュのカスタマーサクセスチームは「常駐型」のスタイルを採用しており、クライアント先で業務を行うメンバーが多くいます。このスタイルだからこその制約もあります。
- 社内で実践経験を積む機会が少ない
- 業務時間の制約があり、まとまった時間を確保することが難しい
- 常駐先での勤務が中心で、オフィスに集まりにくい
一般的なアイデアソンは「1日集中型」で実施されることが多いのですが、この形式をそのまま当てはめるのは現実的ではありませんでした。
常駐型に合わせたアレンジポイント
具体的には、期間や進め方を見直しました。
- 期間:1日 → 約1ヶ月の期限を設定
- 進め方:オンラインMTG+Slackを活用して非同期で進行
- チーム運営:キックオフMTGからスタートし、その後の進め方は各チームに一任。複数回のMTGを重ねながら、各チームのペースで取り組む
やってみてわかったこと・課題
この形式にしたことで良かった点は次のとおりです。
- 常駐先での業務という制約の中でも、時間をかけてじっくりアイデアを練れた
- 短時間で出す瞬発的なアイデアではなく、実現性を高めたアイデアが出やすくなった
- 各自の都合で進められるので、常駐先が異なっても場所や時間を合わせずに参加できた
一方で、課題として残った点もあります。
- 長期間プロジェクトになることで、途中で参加できなくなるメンバーが出る
- 都度MTGの設定が必要で、調整コストがかかる
- MTG外の作業時間が曖昧になりやすく、進捗管理が難しい
これらはこれから改善していきたいポイントです。
とはいえ、「完璧な形式を目指すよりも、まずやってみる」ことの価値は非常に大きいと感じました。
参加者からの反響
社内初の試みだったため、正直なところ「どこまで盛り上がるだろうか」という不安もありました。しかし、ふたを開けてみると想像以上に好評で、参加者からは次のような声が寄せられました。
- 「社内の課題を考える時間を作ることができた点と、アイデアを出すという経験を身につけられた」
- 「入社後に自分が感じていたことは、自分だけじゃなかったと気づけて安心した。自分の考えをアウトプットするよい時間になった」
- 「普段一緒に業務をしていないメンバーとつながれた。チームで話すことで、どう進めればアイデアが出やすいかを考えるきっかけになった」
特に印象的だったのは、「現状に何が足りないか・何ができるか」という考え方を初めて経験したという声です。日々の業務では「与えられた課題に対応する」ことが多い中、自ら課題を設定する経験は、新しい思考力を育てるきっかけになります。
また、自身の提案した企画が評価されたことへの喜びの声も多く聞かれました。「自分の考えが組織に届いた」という実感は、カスタマーサクセス担当者として次の提案に向かう原動力になります。
体験から見えてきた「課題・発想・言語化」CS思考力メソッド
この体験を通じて、アイデアソンがカスタマーサクセスのスキル向上に直結していることがはっきりと見えてきました。その構造を整理すると、次の3ステップにまとめられます。
ステップ1:課題を見つける(顧客目線で問題を発見・整理する)
最初のステップは「課題の発見」です。
チームで意見を出し合っているうちに、メンバー同士で近しい部分に目が向くようになり、「これが本当の課題だ」と気づける瞬間が訪れます。
多くのアイデアの中から共通項を見つけ、絞り込んでいく中で、課題テーマが自然と定義されていきました。このプロセスは、カスタマーサクセス業務で顧客目線に立って問題を発見・整理する作業と通じるものがあります。
ステップ2:アイデアを広げる(制約を外して自由に発想する)
次は「発想を広げる」フェーズです。
ここで意識したのは、「自分のこれまでの経験を踏まえてアイデアを出す」ということ。経験に裏付けられたアイデアは、行動レベルまで具体的に描けるため、実現性が高まります。
また、お互いの意見を尊重しながら出し合えるチームの空気感も、アイデアの幅を広げる大きな要素でした。
ステップ3:言語化・提案する(チームに伝わる形でまとめる)
最後は「言語化と提案」です。
意識したのは、「なぜそのアイデアか・それを実施することで何が解決するか」を必ずセットで伝えることです。
自分の意見を簡潔に、感情ではなく“意見”として伝える力は、カスタマーサクセス業務において顧客への提案、社内への要望、レポーティングなど、あらゆる場面で活きてきます。アイデアソンは、この「伝える力」を実践で鍛えられる場なのです。
まとめ:カスタマーサクセスこそアイデアソンを開催しよう
ここまで、アディッシュ社内で開催したカスタマーサクセス向けアイデアソンの取り組みをご紹介してきました。
改めて要点を振り返ってみます。
- アイデアソンは、カスタマーサクセスの思考力・提案力を鍛える絶好の場である
- 社内課題の解決手段としても機能し、実際に採用される企画も生まれる
- 常駐型・業務時間の制約があっても、形式を工夫すれば実施できる
- 参加者からは「思考力が身についた」「社内のつながりができた」と高評価
- 「課題発見 → 発想 → 言語化」の3ステップは、カスタマーサクセスの日常業務にそのまま活きる
カスタマーサクセスの仕事は、顧客に寄り添い、課題を見つけ、解決策を提案することの連続です。だからこそ、「自分の組織の課題に向き合う」アイデアソンは、カスタマーサクセスにとって有効なトレーニングフィールドになります。
「忙しくて時間が取れない」
「常駐先での業務が中心で社内に関わる機会が少ない」。
そんな環境でも、工夫次第でアイデアソンは実現できます。
ぜひ、あなたのチームでもアイデアソンを開催してみてください。
アイデアソンを通して、より思考を深められるカスタマーサクセスを一緒に目指していきましょう。

この記事を書いたライター
山本美咲
官公庁、人材派遣業界、IT業界、建設業界を経て、2024年にアディッシュに入社。 これまでの営業経験とカスタマーサポート経験を活かし、現在はtoB向けのテクニカルサポート業務に従事。 「顧客視点」をモットーに、幅広い分野での業務改善を得意とする。
