【翻訳】解約顧客との再エンゲージメント入門──営業とカスタマーサクセスが連携して再接点をつくる方法

Custify
2026.08.10
この記事は著作権を有する Custifyの許可を得て翻訳したものです。
Original article:https://www.custify.com/blog/reengaging-churned-customers/
解約顧客の再エンゲージメントとは、自社サービスを解約した顧客に対して、あらためてコンタクトを取る取り組みを指します。
このコンタクトには、単なる近況確認にとどまらず、市場調査、解約理由の把握、競合分析、さらには顧客の再獲得といった複数の目的があります。取り組み方次第では、単発の連絡にとどまらず、解約顧客との関係を再構築するための戦略として展開することも可能です。
本記事では、以下の観点から、解約顧客との再接点づくりについて整理します。
- 解約顧客に再度アプローチすべき理由
- 解約顧客へのアプローチ方法
- 対象範囲の決め方
- セグメンテーションの考え方
- コミュニケーション戦略とチャネルの選び方
- 再接点を促すインセンティブの設計
- 解約顧客を再獲得するための進め方
- 解約顧客への再エンゲージメント戦略の立て方
- 解約顧客との会話後に行うべき施策
また、解約顧客とのコミュニケーションを経験してきたカスタマーサクセス担当者や営業担当者の見解も紹介します。どういった対話がうまくいき、逆にうまくいかなかった施策は何か、そしてどのように準備すればよいのか、実務に基づく視点として参考にしてください。
解約顧客に再度アプローチすべき理由
一度離脱していった顧客が、現在どのような状況にあるのか気になったことはないでしょうか。
「かつて良好な関係を築いていた顧客が、別のサービスをどのように活用しているのか。新しいソリューションが本当に成果を出せているのか。あるいは、自社と再び接点を持つ余地があるのではないか。」
もしそう感じたことがあるなら、解約顧客にもう一度連絡してみる価値はあります。
SaaS業界ではあまり一般的に語られていないかもしれませんが、解約した顧客にあらためて連絡を取ることは、決して悪いアイデアではありません。むしろ、従来のBtoB取引にありがちな「契約が終われば関係も終了する」という考え方から抜け出し、人と人との関係性を取り戻すきっかけになります。
過去に顧客との関係が良好だったにもかかわらず、利用サービスを変更したという理由だけで、その関係を完全に終わらせる必要はあるのでしょうか。
すでに自社サービスを離れた顧客に再度コンタクトを取ってみることで、以下のような重要なメリットが得られます。
解約の根本的な原因を把握できる
顧客との直接の契約関係がなくなると、会話にはある種の率直さが生まれます。顧客は、契約中には言いづらかったことも含めて、より正直に話してくれる可能性があります。
たとえば、以下のような情報が得られることがあります。
- 解約した顧客は、「どこで期待を下回っていたのか」「サービスの提供にミスがなかったか」などを率直に話してくれます。
- 上記の他、「解約に至った具体的な理由」も教えてくれる場合があります。
- 解約に至った判断には、実際には自らの担当分野やソリューションに関係なく、予算や経営判断が理由だったケースもあるかもしれません。
こうした実態を把握できることは、今後の顧客維持やオンボーディング改善において大きな示唆になります。
競合サービス分析や市場調査につながる
解約顧客への再コンタクトは、単に解約理由を知るためだけのものではありません。顧客の近況を把握し、現在どのような判断を行っているのかを知ることで、競合分析や市場調査にもつながります。
たとえば、以下のような情報が得られる可能性があります。
- 顧客は、どのサービスへ乗り換えたのか、あるいはSaaSツールの代替手段としてスプレッドシートなどを使っているのかを教えてくれる場合があります。
- 顧客は新しいソリューションに満足しているのか、非常に率直な意見を得られます。また、自社サービスと比較したとき、何が不満なのかも話してくれるでしょう。
- こうした会話から得られる洞察は、社内のさまざまな部門にとって価値があります。
- プロダクト開発チームにとっては、競合サービスで評価されている機能や、チームが改善すべきポイントを知る手がかりになります。
- マーケティングチームにとっては、他社がどのようなメッセージで訴求しているのか、その訴求が実際の利用体験と違和感がないのかを把握できます。
- 営業チームにとっては、競合比較や商談時の切り返しに使える、具体的な材料を得られる可能性があります。
- また、経営層や他部門にとっても、市場動向や競争環境を理解するための重要な洞察を得られます。
解約顧客を再獲得できる可能性がある
解約した顧客とのコンタクトは、状況によっては再獲得の機会にもつながります。
ただし、顧客の再獲得を目的にする場合でも、最初からセールスに入るべきではありません。いきなり提案を行うと、顧客はすぐに意図を見抜き、距離を置いてしまう可能性があります。場合によっては、不快感を与えてしまうこともあります。
まず大切なのは、顧客の現状に共感し、現在、乗り換えたサービスにどのような課題や不満を抱えているのかを丁寧に聞くことです。そのうえで、自社のサービスがその課題解決に役立つ可能性がある場合に限り、静かに提案の余地を示すことが重要です。
たとえば、以下のような進め方が考えられます。
- 現在の運用状況や課題を丁寧に聞く
- 解約に至った理由を把握し、それを克服できる手段が、自社にあるかを確認する
- 乗り換えたサービスの契約更新時期を把握する
- 必要に応じて、再検討のための提案メールを送ってもよいか確認する。顧客が現在のソリューションに不満を持っている場合は、その課題に正面から向き合う提案を送ることで、顧客や経営層が再検討するきっかけを作れる可能性があります。
ただし、会話の中で最も重視すべきなのは、共感と信頼関係です。再獲得はその先に自然と生まれる可能性のある結果であり、最初からセールスを前面に出すべきではありません。

解約顧客への再エンゲージメント戦略の立て方
1. 再エンゲージメントの目的を明確にする
解約した顧客へコンタクトを取る際は、最初に目的を明確にしておく必要があります。
これは非常に重要なステップです。なぜなら、目的が曖昧なまま会話を始めると、以下のような状況に陥りやすいからです。
- 顧客のことをよく知っている場合、近況の話題や雑談だけで時間が過ぎ、本来聞くべきことを聞けないまま終わってしまう可能性があります。
- 一方、顧客との関係が浅い場合は、会話が広がらず、不自然で表面的なやり取りになってしまう可能性があります。
目的を明確にしておけば、会話の方向性が定まり、顧客との対話をスムーズに進めやすくなります。また、AI会議ツールなどで会話内容を記録する場合も、目的に沿ってメモを整理しやすくなります。
2. 解約した顧客をセグメント化する
通常の顧客と同様に、解約した顧客もセグメントに分けることで、再アプローチの効率を高められます。
すべての解約顧客に同じ方法で連絡するのではなく、顧客の状況や解約理由に応じて優先順位やアプローチ方法を使い分けることが重要です。
解約顧客は、たとえば以下のような観点でセグメント化できます。
- 解約理由
- 自社サービスを利用中に得ていた価値
- 顧客のタイプ分類(企業規模、利用の頻度など)
- 業界・業種
- 利用行動やエンゲージメントの傾向
- 過去の関係性
どのセグメント軸を使うべきかは、組織の状況や顧客数、実際に連絡を取りたい顧客数によって異なります。
特に重要なのは、過去の関係性です。よく知っている顧客との会話は、ほとんどコンタクトのなかった顧客と比べて、より会議を進めやすく、得られる情報の質も高くなる傾向があります。
3. 顧客情報を調査し、コミュニケーション方針を準備する
解約顧客にコンタクトを取る前には、可能な限り事前情報を集めておくことが重要です。
事前に調査しておくことで、会話のトーンや切り出し方を適切に調整できます。また、会話中に事実関係を誤り、気まずい訂正が必要になるリスクも避けやすくなります。
たとえば、事前調査によって以下のようなことが分かる場合があります。
- 自社サービスの導入や活用を後押ししてくれていた担当者がすでに退職している場合、コンタクトの際には慎重になる必要があります。ただし、その人物が当時の意思決定や解約理由について貴重な意見を持っている場合もあるため、情報収集の対象としては重要です。
- 顧客企業が予算縮小やコスト削減を進めている場合、再提案の際には価格や導入負荷への配慮が必要になります。単に機能や価値を訴求するだけでなく、費用対効果や運用負担の軽減も含めて提案を検討することが重要です。
- 買収によって、意思決定者や利用部門、業務プロセスが変わっている可能性があります。一方で、その人物によって新たな課題や再提案の機会が生まれている場合もあります。現在の組織体制を確認したうえで、誰に、どのようなアプローチをすべきかを見極める必要があります。
こうした準備を行うことで、いつ連絡を取るべきか、何を話すべきか、どのようなトーンが適切か、どういった提案や代替案を用意すべきかが見えてきます。
カジュアルに話すべき相手なのか、親しみを込めたトーンがよいのか、あるいは完全にビジネスライクに進めるべきなのか。過去の関係性やアカウント履歴を踏まえて判断することが大切です。
4. 適切なコミュニケーションチャネルを選ぶ
解約顧客とどの手段で会話するかも、重要な検討ポイントです。主な選択肢としては、以下のようなものがあります。
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AI議事録ツールを活用したオンライン会議
解約顧客との関係を再構築するうえで、オンライン会議は有効な手段です。FathomなどのAI議事録ツールを使えば、会議内容を記録・要約し、次に取るべきアクションまで整理しやすくなります。会議後に議事録や要点も整理しやすくなるため、得られた情報を社内で共有する際にも役立ちます。
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顧客が好んでいたチャネル
顧客が以前どのようなコミュニケーション手段を好んでいたかも考慮しましょう。
Slackを好む顧客もいれば、WhatsAppを使っている顧客もいます。よりビジネスライクなやり取りを好む顧客であれば、メールの方が自然な場合もあります。
重要なのは、自社にとって都合のよいチャネルではなく、顧客が反応しやすいチャネルを選ぶことです。
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複数チャネルの組み合わせ
理想的には、複数のチャネルを組み合わせる方法もあります。
たとえば、SlackやWhatsAppで軽く会話を始め、その後オンライン会議に移行し、会議内容をAIツールで記録する。こうした流れであれば、顧客にとっても負担が少なく、こちら側も有益な情報を整理しやすくなります。
5. 会話に応じてもらうためのインセンティブを設計する
解約顧客にコンタクトを取っても、必ずしも反応が得られるとは限りません。以前の取引先と話すために、顧客が時間を割いてくれるとは限らないからです。
そのため、必要に応じて、会話を促すためのインセンティブを用意することも有効です。
たとえば、50ドル相当のAmazonギフトカードのような謝礼を用意することで、顧客が会話に応じてくれる可能性は高まります。
社内で費用の承認を得る必要がある場合は、以下の観点から説明するとよいでしょう。
-
営業活動への貢献
営業チームと連携し、特定の解約顧客との会話が今後の営業活動に役立つかを確認します。競合他社のデータや顧客の意思決定プロセスに関する情報が得られるのであれば、営業活動への貢献として費用を正当化しやすくなります。
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市場調査としての価値
顧客が競合サービスへ乗り換えている場合、その理由や利用状況を把握することは、市場調査として価値があります。競合の強みや弱点を知る機会として、インセンティブに関する承認を得やすくなる可能性があります。
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潜在的な契約価値との比較
BtoBの分野では、1社あたりの契約金額が大きいケースも少なくありません。将来的な再獲得や施策の改善につながる見込みがあれば、小額のインセンティブは十分に投資対効果が見込める可能性があります。
こうした観点を整理することで、解約顧客への再エンゲージメントにインセンティブを設ける重要性を説明しやすくなります。

6. 再獲得につなげるための戦略を設計する
解約顧客との会話を再獲得の機会へつなげるためには、まず会話内容や顧客情報を丁寧に記録し、ドキュメント化しておくことが重要です。
具体的には、顧客セグメント、解約理由、現在利用しているサービス、提案書の草案、インセンティブの有無、アカウント情報、過去の会議メモなどを整理しておきます。カスタマーサクセスツールを活用すれば、これらの情報を一元管理し、顧客ごとのダッシュボードとして確認できます。
では、解約顧客を再獲得するには、どのように進めればよいのでしょうか。
まずは、再エンゲージメント戦略の目的と全体像を明確にします。そのうえで、解約顧客との会話を通じて、現在の状況や感じている課題を理解し、相手の立場に寄り添うことが重要です。
可能であれば、以下の点を把握し、記録しておきましょう。
- 現在の状況や利用中のベンダーに対する不満
顧客が乗り換え先のサービスや運用にどのような不満を感じているのかを確認します。これは、自社が再提案を行う際の重要なポイントになります。 - 顧客が改善したいと考えていること
今後、どのような改善や支援を求めているのかを把握します。顧客にとって本当に重要な価値を理解することで、より的確な提案につなげることができます。 - 意思決定者が誰なのか
かつての担当者が自社に好意的であっても、決定権を持っていない場合があります。上司や同僚、経営層が方針の意思決定に関わっている場合は、その相手に伝わるアプローチを考える必要があります。 - 現在の契約更新時期
顧客が現在のベンダーといつ契約更新を迎えるのかを把握しておくことも重要です。更新時期に合わせて、双方にとって有益な提案を準備できます。焦って提案を急ぐのではなく、契約更新のタイミングに向けて、十分に準備を整えておくことが大切です。 - 再検討に必要な条件
「再度検討いただけるとしたら、何が必要でしょうか」と率直に聞いてみることも有効です。顧客の正直な回答によって、再獲得に向けた課題点や条件が明確になる場合があります。 - 顧客と向き合う際に大切にしたい姿勢
大切なのは、率直かつ誠実な姿勢で顧客と向き合うことです。自社が望む結果を優先するのではなく、顧客の現状を正しく理解し、そのうえで再び価値を提供できる機会を探ることが重要です。

解約顧客との会話後に行うべきこと
情報が整理され、最初の会話が終わった段階で、本格的な取り組みが始まります。
- 顧客を再獲得したい場合は、まず社内関係者と情報を共有し、現在のベンダーと比較したときに自社が選ばれる可能性を検討します。そのうえで、提案書を作成します。提案書は、最終承認や送付までに何度か修正が必要になる場合もあります。
- 一方で、すぐに顧客を取り戻せない場合もあります。あるいは、再獲得自体を目指さない場合もあるでしょう。その場合でも、会話から得られた情報には価値があります。
学んだことを記録し、マーケティング、プロダクト開発、営業、経営層と共有しましょう。競合サービスへの理解が深まり、次の営業機会やプロダクト改善に活かせる可能性があります。また、解約顧客については、6か月後、あるいは現在の契約更新時期が近づいたタイミングで再度コンタクトを取る機会も検討できます。その頃には、顧客の状況が変わり、再アプローチしやすい環境になっているかもしれません。
解約顧客との会話から得られる情報は、比較的早い時期から価値を生み出せます。ただし、その情報が古くなる前に行動することが重要です。
営業戦略の調整、プロダクト改善、コミュニケーション内容の見直しなど、できる範囲で段階的に改善を進めていきましょう。
まとめ:CSとセールスが連携して解約顧客との関係を再構築するために
1. 取り組みの目的と責任分担を明確にする
まず重要なのは、最終目標である解約顧客への再契約が、カスタマーサクセス部門が目指す目標なのか、それとも営業部門が目的にしているのかを明確にすることです。
そのうえで、解約顧客が過去に求めていたことや、現在必要としている可能性のある要件を整理します。さらに、その顧客層のニーズに応える新機能や改善があれば、メッセージとして伝える準備を整えておくことが大切です。
— Sara Vera-Cruz Quintas, Head of Customer Success, VESSELINDEX
2. 解約顧客と既存顧客に割く時間のバランスを決める
解約顧客との関係を再構築することは有益ですが、時間と労力がかかります。そのため、現在の顧客対応に支障が出ないように、どの程度の期間を費やすのかをあらかじめ決めておく必要があります。
プロダクト開発、マーケティング、経営層と相談し、フィードバック収集、顧客再獲得、この施策を正式なキャンペーンとして実施するかどうかを検討するとよいでしょう。
重要なのは、この取り組みにどれだけのリソースをかけるかを決めることです。それは、何を目的として得たいのかによって変わります。
私の提案としては、特に名前を聞いたこともないような小規模企業については、全体の稼働時間の5%以下に抑えることです。ただし、その企業が将来的に大きく成長する可能性を持っている場合は、別の判断も考慮します。
また、今もエンゲージメントが続いている既存顧客や、十分に関与できていない既存の顧客にも注意を払うべきです。
解約顧客からフィードバックが得られた場合、あるいは得られなかった場合でも、セールス担当者と連携して再獲得キャンペーンを企画することはできます。その際に重要なのは、コンタクトを送る担当者にできるだけ多くの顧客データを提供することです。
たとえば、導入の価格が高すぎたことが解約理由であれば、新しいプロモーションや価格提案を用意してアプローチすることが考えられます。
この点については、セールス部門の責任者と調整する必要があるでしょう。
大切なのは、今も自社と関係を続けてくれている顧客に目を向けて、彼らがニーズとしているものを提供し、継続的に戻ってきたいと思ってもらえる存在であり続けることです。
— Chris Otenbaker, Director of Customer Success, PlanITROI
3. 自社が改善できたこと、競合サービスが十分にできていないことを学ぶ
解約顧客と話すことは、新規の見込み顧客と話すこととはまったく異なります。
既に過去の利用経験があるため、会話はより直接的で率直なものになりやすいです。顧客は、当時うまくいかなかった理由、社内で何が変わったのか、そして本当に成功するためには何が必要だったのかを話してくれることがあります。
私にとって、こうした会話は非常に価値のあるものです。再獲得の可能性が生まれるだけでなく、プロダクト、提案のタイミング、顧客へのアプローチ方法など、何を改善できたのかについての本質的な洞察が得られるからです。
以前、ある顧客との会話で、その顧客はCustifyとサポートには満足していたものの、経営陣が別のベンダーを選んだと話してくれました。そのベンダーの営業担当者は、私たちの製品の方が優れていると説明していたそうです。しかし、実際には十分にテストできる機会はなく、説明の動画を見せられただけだったとのことでした。実際に使い始めてみると、営業時に説明された内容とはまったく異なる体験だったそうです。期待通りに動作せず、サポートの対応も遅かったと話していました。
こうした会話は、競合製品の実際の状態が、営業資料やマーケティングメッセージで示される印象とどれほど異なるかを理解する貴重な機会になります。
— Vlad Strimbeanu, Account Director, Custify
4. 契約プロセスを別の視点から理解する
解約顧客は、自社の契約プロセスについて、実際にどのような体験であったのかを教えてくれる希少な存在です。
彼らは、どういったアプローチが契約の決め手になったのか、どの反論が重要だったのか、そして導入後にどのタイミングで「期待していた体験」とのズレが生まれたのかを話してくれます。
こうしたフィードバックは、すでに解約した顧客だからこそ得られる貴重な情報です。解約顧客から得られる、「顧客視点での評価や意思決定に至るまでの実態」は、社内でポジショニングについて議論するよりも、非常に有益な洞察になります。
— Mircea Popa, Co-Founder & CEO, Medicai
5. 顧客の再獲得だけでなく、得られる洞察に注目する
以前、私は解約顧客に連絡を取るプログラムを実施していました。四半期ごとに、解約した顧客の連絡先5〜10件に個別にコンタクトを取り、近況を確認していました。
しかし、反応率は非常に低く、記憶している限りでは15%未満でした。つまり、5〜10人に連絡して、実際に返答があったのは平均して1人程度でした。
このプログラムを通じて顧客を再エンゲージメントすることはできませんでした。しかし、顧客がどの製品に移行したのかについて、プロダクトチームにとって貴重な情報を得ることができました。
顧客は具体的な情報を明かすことには消極的でしたが、話し方やトーンから、かなり正確に推察することもできました。
これは高単価な商材を扱うエンタープライズ向けBtoBビジネスでの話です。この領域では、ベンダー間における社内外での取引が大きく関わることもあります。エンタープライズではない領域では、状況は異なるかもしれません。
— Manuel Harnisch, Fractional CCO and Technical Success Leader, TopSERV Fractional
6. 解約顧客からプロダクト改善のヒントを得る
顧客の再獲得だけを目的にするのは、必ずしも適切ではありません。多くの場合、顧客の再エンゲージメントにおける本当の価値は、運用面の改善にあります。
解約顧客との会話を通じて、引き継ぎ、サポート、価格設定、コミュニケーションにおける反省点が見えてくることがあります。そして、その改善すべき点は、既存顧客にも共通して存在している場合があります。それらを改善できれば、ポートフォリオ全体の健全性向上につながります。
— Radu Scarlat, General Manager, Bento MDM
7. アップデートを示し、顧客のニーズに応えられることを証明する
解約顧客との関係を「再構築する」プロセスにおいては、自社側が「再び取引したい」という意欲を伝えるだけでは十分ではありません。実際にプロダクトの改善サイクルが進んでいることを示せた場合にこそ、効果を発揮します。
元顧客は、プロダクトにおけるロードマップや将来的な構想を聞きたいわけではありません。彼らが関心を持っているのは、解約の原因となった課題がすでに解決され、その環境を活用できるかどうかです。
その問題が明確にドキュメント化され、追加の労力やリソースをかけずに利用できる状態になっていることを示して初めて、再検討の可能性が生まれます。
—Alexandru Artimon, Co-founder / CTO, Atta Systems
8. 再度のアプローチに適したタイミングを見極める
自社サービスの解約時には、プロセスをできるだけスムーズに進められるよう配慮し、一定期間が経った後に再度連絡してもよいか確認しています。
顧客は解約後に別のベンダーと契約しているため、契約直後に連絡しても、契約の問題や新しいプラットフォームのトレーニング期間と重なり、断られる可能性があります。
私の感覚では、顧客が離脱してから6〜9か月後くらいが、再度コンタクトを取るのに適したタイミングです。
その頃には、顧客は新しいサービスにある程度使い慣れており、自社のサービスの強みや弱みについても、ある程度客観的に理解している状態です。解約理由に応じて、「アップデートについてのお知らせ」や「リニューアルしたプラットフォームで、当時の課題が解決されているか確認させてください」といった形で連絡できます。
得られる効果はケースによりますが、営業にとっては再エンゲージメントの機会につながることもあります。
— Nicole Petkovits, Revenue Operator & Storyteller
9. 解約顧客に、成功を支援し続けたい姿勢を伝える
解約顧客に対して、引き続き成功を支援したいという姿勢を示すことは非常に良い施策であり、もっと積極的に行うべきアプローチだと感じています。
これまでにも、顧客が再び戻ってきてくれたケースは何度かあります。しかし、その多くは顧客側から自然に再検討してくださったものでした。
その上で、私たちが引き続き顧客を支援し、「顧客の成功に貢献したい」 という姿勢を示せば、たとえ直ぐに再契約につながらなかったとしても、 顧客満足度を高めることができるはずです。
特に、顧客側が「競合サービスで満足のいく体験を得られていない」状況を把握している場合は、一定のタイミングで再び支援できる存在であることを伝える姿勢が大切です。
— Michael Maron, VP of Customer Success and Global Accounts, WordPress VIP
結論:解約顧客との対話は、新たな機会を生む可能性がある
取引が終了した顧客であっても、適切にアプローチすることができれば、依然として貴重な存在になります。SaaSにおいて、顧客の解約は必ずしも関係の完全な終了を意味しません。顧客が離れたとしても、新たな接点や事業機会への扉が完全に閉ざされるわけではなく、ときには再び関係を築ける余地が残されています。重要なのは、その機会が訪れたときに、再び顧客と向き合い、関係を再構築する準備ができているかどうかです。
解約顧客に再度アプローチすることで、解約理由に関する新たな知見、競合サービスに関する情報、そして再獲得の可能性を得られます。
少なくとも、検討するメリットのある取り組みだと言えるでしょう。
再エンゲージメントに必要な顧客情報を整理し、ダッシュボードとして管理したい場合は、カスタマーサクセスプラットフォームの活用も一つの方法です。
まずは、自社の解約顧客の状況を整理し、対象顧客を見極め、コンタクトの目的とタイミングを設計することから始めてみてください。

この記事を書いたライター
Custify
本記事は、ヨーロッパのカスタマーサクセスベンダー「Custify」が運営する「The Custify Blog」(https://www.custify.com/blog/)にて作成された記事です。 アディッシュはCustifyに許諾を得て、翻訳記事を作成・掲載しています。
