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求人票(JD)から読み解く「4つのCSタイプ」──なぜ今、“操作説明だけではない”役割が求められるのか

「今の自分の業務、なんだか思っていた内容と違う気がする……」
「カスタマーサクセス(CS)って、結局どこまでが業務スコープなんだろう?」

日々の業務に向き合う中で、ふとこんな疑問を抱いたことはないでしょうか。

私自身、クライアントの支援に入る中で、市場が求めるカスタマーサクセスの役割と現場の言葉が持つイメージとの間にズレがあるのではないかと、感じることがあります。

現在のSaaSビジネスにおいて、顧客の製品導入から定着、そして契約更新に至るライフサイクルを管理するカスタマーサクセスは、企業にとってなくてはならない存在になっています。国内のSaaS企業の86%が、すでにカスタマーサクセス活動を実施しています。

引用:カスタマーサクセス白書2025 | 日本カスタマーサクセス協会

しかしその実態を紐解くと、「操作説明の先生」や「受け身のホスピタリティ対応」に留まっているケースが少なくありません。

一方で企業側は、CSに対して「事業成長への直接的な貢献」と、現場で担っている役割の間に、企業の潜在的なニーズとのギャップが生じているケースも多いのではないでしょうか。

こうした見えない乖離は、なぜ起きてしまうのでしょうか。
その背景を紐解いていきましょう。

入社後ギャップを生む要因と、市場が求める事業成果へのコミット

急速な需要拡大の裏側で、採用市場では極めて深刻な課題が浮き彫りになっています。それが、企業側(採用側)と求職者側の間に生じる「役割期待のミスマッチ」です。

 

なぜ「思っていたCSと違う」が起きるのか

労働市場において「カスタマーサクセス」という単一の名称が使われているものの、実態は企業が提供するプロダクトの特性やターゲット層によって異なります。

ある企業では問い合わせ対応を中心とした「守りのカスタマーサクセス」を求めている一方で、別の企業では経営層に対する業務改革の提案や、アップセルによる売上拡大を推進する「攻めのカスタマーサクセス」を求めています。

 

これはカスタマーサクセスだけに限りませんが、就業者の約9割が入社前後に何らかのギャップを感じているという広範な調査結果も出ています。エン・ジャパンが2025年に発表した調査によれば、入社後ギャップを感じた方のうち、「想定より悪かった」ギャップとして最も多く挙げられたのが「仕事内容」でした。

(引用:「入社後ギャップ」実態調査(2025年) | エン・ジャパン)

 

カスタマーサクセスという職種において、この「仕事内容のギャップ」は特に表れやすい業態かもしれません。言葉の響きから「既存顧客への丁寧なサポート業務」や「製品の操作説明」をイメージして入社するものの、実際の現場では全く異なる役割を求められるケースが少なくありません。

 

“操作説明”から“顧客成果支援”への変化

この背景にあるのは、業界全体を巻き込む大きな転換期です。2025年以降のグローバルトレンドとして、カスタマーサクセスの役割は「ツールにログインさせること」から、「顧客が特定のビジネス目標を達成するための積極的な支援(価値の具現化)」へとシフトしている傾向にあります。

顧客は単に使いやすいツールにお金を払うのではなく、ツールを通じた「コスト削減」や「売上向上」といった具体的な事業成果に対価を払うものへと移り変わっているのです。

(引用:The top 2025 customer success trends predicted by SaaS experts | CHURNZERO)

 

高度化するCS人材への市場期待

事業成果に直結する役割への期待が高まったことで、カスタマーサクセス人材に対する市場の需要は急速に拡大しています。その結果、他職種からカスタマーサクセス部門へ転職した人材の60.8%が年収増を実現しており、中には年収が2倍以上に増加したケースも存在するなど、労働市場における経済的価値が劇的に向上していると言えるでしょう。

(引用:2024年度版:カスタマーサクセス実態調査 | ユニリタ)

エンプラ向けSaaSで感じたプロジェクト推進の難しさ

データが示す通り、現在のカスタマーサクセスは「ツールの案内人」から「価値の設計者(サクセス・アーキテクト)」へと変化しています。

そのため、今後の市場価値を決めるのは、自社プロダクトの細かな機能知識ではなく、顧客のビジネスを根底から動かす人材ではないでしょうか。

 

現場の視点で見ると、この変化はより明確です。私自身、全国に店舗を構えるエンプラ向けSaaSを提供するクライアントを担当して実感したのが、単なる操作説明だけでは不十分だということです。

 

エンプラ企業へのシステム導入は、単にアカウントを発行して「あとはマニュアルを見て使ってください」で済むものではありません。

本格導入の前に有償検証(PoC)を行い、現場の業務に合わせた重厚な要件定義を重ね、既存の社内システムと連携を行うなど、実際に全店展開されるまでに膨大な工数と時間を要する「大規模なプロジェクト」として進行します。

 

当然、決裁のハードルも高く、経営層を納得させるためのROI(投資対効果)など、定量的な見せ方が非常に重要になります。また、多店舗展開している顧客の場合、現場の末端までシステムを定着させるためには、顧客の本部体制そのものを巻き込んで業務フローを再編していく必要もあります。

 

私自身、CSの常駐支援として参画していましたが、最初から「顧客の問い合わせ対応」をメインとする業務ではありませんでした。クライアントから求められたのは、現場の業務の整理や棚卸し、課題の抽出と改善提案、そして組織拡大に向けて「背中を見て学ぶ」という属人的な文化から脱却するための、社内ナレッジの構築でした。

 

最初は自分の役割が分からず戸惑うこともありましたが、現場の課題に向き合う中で、これからのSaaS企業が外部のCSに求めている真のニーズはここにあるのではと感じるようになりました。

クライアントのプロジェクトそのものをマネジメントし、業務改善を牽引する。そうしたコンサル的な介在価値を発揮してこそ、本質的なカスタマーサクセスが実現できるのではないかと感じています。

実際の求人票データの分析から見えてきた「4つの人材タイプ」

※本項目で言及する各社の求人要件は、すべて2026年6月時点における公開情報に基づいています。

 

採用市場におけるミスマッチを防ぎ、自身のキャリアを正しい方向に進めるためには、曖昧な「カスタマーサクセス」という言葉の解像度を上げる必要があります。

 

では、具体的にどのように解像度を上げればよいのでしょうか。
今回はその答えを探るため、国内外の主要SaaS企業が実際に公開している求人票(JD)の生データを客観的に分析してみました。

 

求人票には企業が直面している事業課題と、不可欠なスキルセットが修飾なしに言語化されています。それらの要件を読み解いていくと、現在のSaaS市場がCSに対して求めている機能は業務の性質や事業フェーズに応じて、以下の4つのタイプに明確に分類できることがわかりました。

タイプ1: サポート型

大量の顧客(主にSMBやロングテール層)に対して、効率的かつ標準化されたサクセス体験を提供する役割です。属人的な対応を極力減らし、データやツールを駆使して「仕組み」で顧客を支援します。

 

昨今のトレンドでは「スケールCS」と呼ばれ、過去のデータに基づく予測的な解約リスクの検知や、パーソナライズされたロータッチ・オンボーディングの設計、サポートプロセスの自動化を担います。

複雑なデータセットを分析し、オペレーションのボトルネックを発見して仕組みで解決することにやりがいを感じる、プロセス指向の人材に適しています。

(引用:Customer Success Trends 2025 | EverAfter)

タイプ2: コンサル・業務改善型

プロダクトの機能を提供するだけでなく、顧客の業務フローそのものを根本から再設計し、定着させる役割です。

SaaSの導入を「新しい働き方の導入」と捉え、現在のプロセスに潜む無駄を特定して、あるべき姿を描き出すコンサルティング能力が求められます。

 

国内のバックオフィス系SaaS企業の求人票を分析すると、この傾向が読み取れます。例えば、株式会社SmartHRの新規事業領域の求人では「法人向けソリューション営業経験5年以上」というハードルが設定されており、株式会社マネーフォワードのビジネスセグメントの求人でも、無形法人営業経験に加えて、歓迎スキルとして「簿記3級以上」や「会計・税理士事務所での勤務経験」が具体的に挙げられています。

これは、単なるツール説明ではなく、人事・会計業務そのものへの理解が求められていることを意味しています。

顧客の人事担当役員やCFOに対し、プロの視点から評価制度や承認プロセスの見直しを提案できてこそ、ツールの定着を推進できると言えるでしょう。

 

タイプ3: エンプラ・PM型

大企業向けの大規模なDXプロジェクトを、数年単位の長期目線で牽引する役割です。

エンタープライズ企業では、組織構造が複雑で、情報システム部門、現場のユーザー部門、投資対効果を気にする経営層など、利害が対立する複数のステークホルダーを調整しながらプロジェクトを前進させる必要があります。

 

グローバルCRM市場を牽引するSalesforce, Inc.の最上位サポートプランの求人票を見ると、「単にアカウントを管理するのではなく、大規模なデジタルトランスフォーメーションを推進する」という記載や、専門家からなる「マトリックス化されたチームを主導するリーダーシップ」が明記されています。

国内企業であるSansan株式会社の求人でも、顧客の社内政治や長年の慣習と向き合うための「無形商材の法人営業経験」が必須とされています。高度なプロジェクトマネジメント能力と、組織の変革を促すチェンジマネジメント能力が要求される領域です。

 

タイプ4: セールス・グロース型

顧客のビジネスの成功を、自社の売上拡大(アップセルやクロスセル)へ確実に結びつける、極めて収益志向の強いタイプです。CS組織内に明確な売上目標を持ち、既存顧客からの収益最大化に強くコミットします。

 

インバウンドマーケティングを提唱するHubSpot, Inc.の求人票を見ると、解約防止にとどまらず「KPIや数値から逆算して計画的に行動できる経験・スキル」が必須要件として明確に定義されています。
顧客の利益を最上位に置くことで、結果的に持続的なアップセルを可能にするという高度な戦略の理解が必要です。定期的なビジネスレビューを通じて顧客の経営層にROIを証明し、未導入の部署を開拓していくなど、数字への執着心と高度な提案力を持つ法人営業経験者に極めて適した役割です。

 

まとめ

カスタマーサクセスの実態は、単一の「サポート業務」という枠をはるかに超え、企業が直面する課題やプロダクトのフェーズによって細分化されています。

実際の求人要件が示す通り、現在の市場が求めているのは、受け身のホスピタリティ要員ではなく、深い業務理解やプロジェクト推進力を持ち、顧客の組織改革に伴走できるプロフェッショナルな人材です。

「サポート型」「コンサル・業務改善型」「エンプラ・PM型」「セールス・グロース型」という4つのタイプで求められる役割や強みは大きく異なります。

だからこそ、自社が今どのフェーズにあり、どのタイプの人材を必要としているのか。あるいは、自分自身の過去のキャリアがどのタイプで最も価値を発揮できるのか。

解像度を上げて客観的に見極めることが、これからのSaaSビジネスにおける持続的な成長と、個人のキャリア形成の鍵と言えるでしょう。

アディッシュでも、それぞれ異なるキャリアや専門性を持つCS人材が、日々のクライアント支援に伴走しております。


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この記事は著作権を有する Custifyの許可を得て翻訳したものです。 Original article:https://www.custify.com/blog/reengaging-churned-customers/...
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